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2007.06.13 サリチル酸メチル含有のクリームで中毒死?(米国)

サリチル酸メチルといえば、鎮痛成分として日本でもシップ剤・クリーム剤などで広く使われている成分ですが、米国で今年4月に突然死したハイスクールの運動選手か高濃度のサリチル酸メチル(基準値の20倍のアスピリンという記事もあり)が検出され、サリチル酸メチル含有のクリームが原因の中毒死が疑われるという事例がこのほど伝えられています。この記事は、日本でも複数のブログが取り上げています。

APなどの記事によれば、亡くなったのは17歳のトラックの花形女子選手で、彼女は厳しいトレーニングのあとの痛みにこのクリーム他、複数のクリームをチームメートから借りて恒常的に使用していたそうです。

検死の段階でも、サリチル酸メチル含有のクリームの他、抗炎症剤含有の粘着性パット(adhesive pads)、成分名が特定できないが何らかのもののあわせて3種類を使っていることがわかっていて、複合的な要因や彼女の体質が原因であった可能性もあります。

識者からは「運動による脱水と発汗で吸収が高められたのではないか」「彼女は白人だったから(黒人はリスクが小さいらしい)」といった見解も示されています

国内では、外用剤で使われる場合にはまず無害と言われているサリチル酸メチルですが、Medline Plusには、"Sports cream overdose"というページがあり、誤って飲んだり、目に入れてしまったときは、医者にかかるよう注意喚起が行われています。

Sports cream overdose(Medline Plus)
   http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/002583.htm

また、メルクマニュアル家庭版でも、「サリチル酸メチルが最も強い毒性をもちます。サリチル酸メチルは、塗布剤や蒸気吸入器に使う溶液などの製品に含まれます。小児はは小さじ1杯未満のサリチル酸メチルの精油を飲みこむだけで死に至ります。」との記載があります。

アスピリン中毒(メルクマニュアル家庭版)
   http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec24/ch297/ch297c.html

OTCとはいえども、何らかのきっかけで過剰摂取=中毒になることもあることがあり、これらの薬剤はやはり用法用量を守るよう指導することは大切です。また乳児などが、サロンパスを口にいれてしまったという場合には注意が必要かもしれません。

参考:Are Muscle Creams Worth It?
    (Washington Post 2207.6.14)
   http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/06/13/AR2007061302047.html
    Overdose of sports cream causes teen's death, FDA questioned
    (AXcess News 2007.6.13)
     http://www.axcessnews.com/index.php/articles/show/id/11233
    Teen runner dies after muscle cream overdose
    (MSNBC 2007.6.9 AP配信)
     http://www.msnbc.msn.com/id/19144600
    Better Labels Urged for Sports Creams
    (ABC news 2007.6.12 AP配信)
     http://abcnews.go.com/Health/wireStory?id=3272244

 関連ブログ:
    肩こり、腰痛、筋肉痛の塗り薬で死亡例(アライブ・サプリメントカフェ)
     http://www.rda.co.jp/topics/topics2801.html
    筋肉の炎症を抑えるクリームが原因でスポーツ選手が死亡(エルエル)
     http://10e.org/mt2/archives/200706/110156.php

 関連記事:市販薬の筋肉痛用クリームで死亡例(薬事日報6月21日・世界最新医療ニュース)
     http://www.yakuji.co.jp/entry3497.html  

6月13日 22:30掲載 14日16:30更新 21日リンク追加

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