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2007.08.09　メディカルスクール構想（東京都）

東京都の方ならもうご存知とは思いますが、都では臨床医を医学部生以外からでも独自に養成する、大学既卒者を対象とした４年制の専門職大学院｢メディカルスクール｣の実現を10年後を目途に検討を始めています。８日、このメディカルスクールの実現に向けた課題や、今後の日本の医師養成のあるべき姿について幅広く議論を行う有識者検討会の初会合が都庁で開催されています。

メディカルスクール有識者検討会の設置及び開催（第１回）について
　　　　　（東京都報道発表8月1日）
　　　http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2007/08/40h81100.htm

このメディカルスクールというのは、アメリカ、カナダ、豪州、韓国などで設置されている医学教育機関で、東京都では、このメディカルスクールの構想を昨年12月にまとめた都市戦略「10年後の東京」に盛り込み、実現を目指しています。

毎日新聞によれば、検討会では現行の医学教育について「臨床医とともに研究者の養成もなかなかできておらず、中途半端になっている」「現場が必要とする人材が養成できていない」といった問題点が委員から指摘されるとともに、「メディカルスクールは解決策の一つになる」との期待感も示されたとのことです。

このメディカルスクールの実現には、医師養成のあり方に関する世論の喚起、国や医療界（既存大学、医師会等）の理解・協力、医師国家試験受験資格や医師法等の改正が必要であり、そう簡単とはいかないようですが、もし実現すれば、医学部を目指して夢かなわなかった薬剤師や日常業務に限界を感じた薬剤師も入学を目指すのではないかと思います。

ブログでは結構この話が取り上げられていて、「都立病院の医師確保ではないか」「一番医師の数が多い東京都に新規医学校設置なんか認可するわけない」との意見がある一方で、「東京都が動けば、国もついて来る」という意見もあり、今後が注目されます。都では教育内容や経営を巡る議論を重ね、2008年3月に提言をまとめたいとしています。

なお、メディカルスクールは国レベルでは文部科学省の中央教育審議会大学院部会や、大学分科会大学院部会医療系ワーキング・グループで議論が行われていますが、現在、医学部の多くで編入学定員を設けて、学士入学制度を実施していることから、「この制度で卒業して医師になった人が、高校卒業で直に医学部に入って医師になる人よりも、本当に社会から求められるより良い医師になっているのかどうかについてしっかり検証する必要がある。また大学学部教育全体の影響など、多角的な検討と十分な議論を必要とすることから、今後、中期的な課題として関係者による十分な検討が必要。」としています。

医療系大学院の目的とそれに沿った教育等の在り方について
　　［医療系ワーキンググループ報告書］
　　(中央教育審議会 大学分科会 大学院部会(第31回)議事録・配付資料 2007年4月14日開催)

大学分科会 大学院部会 医療系ワーキング・グループ（文部科学省）
　　　　※薬学部の大学院問題も取り上げられています

• 第1回議事録・配布資料（2004年10月26日開催）
• 第2回議事録・配布資料（2004年11月24日開催）
• 第3回議事録・配布資料（2004年12月2日開催）
• 第4回議事録・配布資料（2004年12月16日開催）
• 第5回議事録・配布資料（2005年1月17日開催）

関連ブログ：医学教育振興センター (medu blog): ついにメディカルスクール？
　　　　　　　　（2006年12月20日）
　　　　　　　　http://blog.medu.jp/2006/12/post_184.html

参考：毎日新聞東京版8月9日
　http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/news/20070809ddlk13010455000c.html

8月9日　23:40掲載