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2007.08.21 年1回の点滴で、閉経後骨粗鬆症の予防が可能に(米国)
スイスNovartis社は18日、年に1回、15分間の点滴で閉経後の骨粗鬆症の予防が可能になる、Reclastが米FDAから承認されたと発表しました。
Reclast receives US regulatory approval as first and only once-yearly treatment
for women with postmenopausal osteoporosis(Novartis Media Release 2007.8.18)
http://cws.huginonline.com/N/134323/PR/200708/1147705_5_2.html
このReclastは、ビスホスネート系骨吸収抑制剤のゾレドロン酸水和物を1バイアル中5rを有するものですが、米国でも用量の異なるものが 骨パジェット病の治療薬として承認されています。また日本でも、1バイアル中4rを有するものが、悪性腫瘍による高カルシウム血症治療薬(ゾメタ注射液)として承認されています。。
今回の適応拡大は、今年5月にNEJM 誌に発表された大規模臨床試験の結果を受けて承認されたもので、Novartis社ではEUでも年末までには承認されるだろうと発表しています。(EUでの商品名は、Aclasta)
Once-Yearly Zoledronic Acid for Treatment of Postmenopausal Osteoporosis
(NEJM 2007;356:1809-1822)
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/356/18/1809
Reclast(http://www.reclast.com/)に掲載の商品情報(PRESCRIBING INFORMATION)にもこの論文の概要が掲載されています。
http://www.pharma.us.novartis.com/product/pi/pdf/reclast.pdf
この大規模臨床試験は、7765人の女性(平均年齢73歳)を対象に3年間行われたもので、脊椎骨折のリスクが70%減少(内服のビスホスネートでは、リスク減少は40〜50%)、大腿骨頭骨折(hip fracture)のリスクが41%減少するという結果が得られています。
医師への受診する手間や、ノンコンプライアンスにつながる服用後30分間は水以外のものを摂れないという内服剤のような問題もないなどいいことづくしですが、使用後に発熱や頭痛、筋肉痛や関節痛を発現するとされ、またReclast使用群で心房細動が多く発症したというデータがあります。また、急性腎不全等の腎障害、うっ血性心不全、顎骨壊死・顎骨骨髄炎などの副作用の可能性(ゾメタ注射液:重大な副作用)もあり、注意が必要です。
どの程度の価格が設定されるかはわかりませんが、1年1回ということで、費用対効果も大きく、将来治療のスタンダードとなる可能性もあります。もしかしたら、この分野での開局薬剤師の出番がなくなってしまうかもしれませんね。
参考:FDA Approves Once-A-Year Infusion for Osteoporosis
(Medpage TODAY 2007.8.20)
http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/tb/6451
Once a year treatment for osteoporosis now available in the U.S.
(News-Medical.net 2007.8.20
http://www.news-medical.net/?id=28924
8月21日 13:00掲載