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2007.08.30 国内初のADHD治療薬、承認へ向けての動き
29日、厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会が開かれ、国内初の注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療薬「コンサータ錠18mg」「コンサータ錠27mg」(ヤンセンファーマ)の承認が了承されました。10月に開催予定の薬事分科会に報告を経て、発売はおそらく来年になると思います。
ADHDは、最近話題の軽度発達障害(この他に、PDD:広汎性発達障害、LD:学習障害、MR:精神遅滞などがあります)の一つですが、薬物療法としてメチルフェニデートが有効であることが知られています。コンサータ錠は、このメチルフェニデートの徐放錠で、世界50ヵ国以上で承認されています。
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現在日本では、リタリンの適応外使用で対応しているのが現状ですが、リタリンの場合、内服1〜2時間以内に脳内濃度が最大となる一方、4〜5時間後には作用がなくなるなど、効果持続時間が短く、一日複数回の服用が必要となり、学校生活を送る児童・生徒さんにとってはコンプライアンスが大きな課題となっています。これに対しこのコンサータは、効果が約12時間持続するよう工夫を加え、薬剤放出をコントロールした製剤設計となっていて、1日1回朝服用するだけですむようです。
軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアルによれば、5歳検診時の軽度発達障害児の出現頻度は8.2〜9.3%とされ、小中学校の通常の学級に1人〜2人は必ずいるとも言われています。このため、ADHD治療薬としてのメチルフェニデートの早期承認は、発達障害の子どもをもつ親御さんから以前より強く求められていて、承認されるとなれば、コンサータが積極的に処方される可能性があります。
ただ、新薬という扱いになるため、2週間に1回の受診が求められるなど、新たな不便や負担(おそらく薬価も上がる?)も予想されます。
薬事日報によれば、承認にあたっては診断治療に精通し、薬剤のリスクを理解している医師のもとで使われるような措置を講じることが求められた他、販売に当たっては、医療関係者や保護者のADHDに対する理解を深めるため、啓発資材の作成や講習会の開催が行われるとのことです。
関連情報:第83回アポネットR研究会報告
(子どもの軽度発達障害〜親・周りの大人たち・医療関係者はどう接したらよいか〜)
TOPICS 2006.02.10 ADHD治療薬と心リスク
資料:パンフレット「発達障害の理解のために」(厚労省2007年7月)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/pdf/01.pdf
軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル(厚労省2007年1月)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken07/index.html
参考:薬食審医薬品第1部会、国内初のAD/HD治療薬承認へ
(薬事日報 HEADLINE NEWS 8月31日)
http://www.yakuji.co.jp/entry4222.html
コンサータの早期承認要望(KAZ先生のEdu Blog 2007.2.25)
http://edublog.jp/kaz1229/archive/66
RISFAX HEADLINE、日刊薬業ヘッドラインニュース8月30日
9月22日更新