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2008.03.27 小児用OTC風邪薬の2歳未満の使用禁止を勧告(英国)
英国MHRAは27日、2歳未満のOTC風邪薬の使用禁止を勧告し、6歳未満についても薬剤師による販売のみに制限する販売規制を行うと発表しました。英国各紙はこれを一斉に報じています。
Updated advice - Over-the-counter cough and cold medicines for young children
(MHRA Press Release 2008.3.27)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON014446
小児用OTC風邪薬の問題は、米国では今年1月にFDAが2歳未満への使用について、有効性と安全性が示されなかったとして、使用しないよう呼びかけられている他、ニュージーランドでも使用禁止の勧告が行われています。
TIMES紙などによれば、英国でも風邪薬による死亡事例が少なくとも5例、また重大な副作用事例が100以上報告されていて、英国の今回の措置は過量服用によるリスク回避のための予防的措置として販売規制が行われるようです。
規制となるのは、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミンの抗ヒスタミン剤、デキストロメトルファン、pholcodineの鎮咳剤、グアイフェネシン、トコンの去痰剤、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、エフェドリン、oxymetazoline、xylometazolineの鬱血除去薬の12成分をいずれか含む商品が対象で、今回の措置により該当する商品は100以上に及びます。
これにより、今後商品は店頭から撤去され6品目が販売中止となる他、その他についても2008年10月までにラベルの変更が行われます。また、2歳未満の用法がない継続販売が可能なものについても、オーバー・ザ・カウンターで薬剤師による販売のみとされるようです。
今回のMHRAの発表を受けて、業界団体のPAGB(The Proprietary Association of Great Britain)は右のようなリーフレットを作成し、小児のかぜについては、薬を使用しない対処法を呼びかける一方、英国王立薬剤師会もステートメントを発表して、同様の対処法を行うよう呼びかけています。
PHARMACISTS URGED TO REVIEW COUGH AND COLD TREATMENTS FOLLOWING NEW GUIDANCE
(Royal Pharmaceutical Society of Great Britain Statement 2008.3.27)
http://www.rpsgb.org/pdfs/pr080327.pdf
これらの成分はわが国の子ども向け風邪薬の多くに含まれる成分です。日本大衆薬工業協会では米国FDAの発表後、「米国などに比べ配合量は少ない」として、安全性についてはあまり問題視をしていませんが、英国の今回の措置で日本の小児向けOTC風邪薬の販売に大きな影響があるでしょう。
また、一般用医薬品のリスク分類では上記成分の多くは2類(一部はオーバー・ザ・カウンターでの販売が必要)となっていて、薬剤師による販売は義務付けられていません。世界的に、こういった措置が取られている以上、リスク分類の見直し(特に小児向け商品)についての再検討も急がれます。
関連時情報:TOPICS 2008.01.18 FDA、2歳未満へのOTC風邪薬の使用中止を呼びかける
2008.01.18 ニュージランド政府も2歳未満の風邪薬の使用禁止を勧告
参考:Six baby cough medicines banned(BBC NEWS 2008.3.27)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7315924.stm
Child cough cures to be pulled from stores(Telegraph 2008.3.27)
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2008/03/27/ncough127.xml
Cold remedies for children removed over safety fears
(TIMES ONLINE 2008.3.27)
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/child_health/article3628967.ece
3月27日 18:40掲載 28日0:50更新