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2007.01.17　米国中高生の薬物濫用実態調査

米国では毎年、中・高校生を対象とした薬物濫用（たばこ・アルコールも含む）の実態調査が行われていることをご存知でしょうか？　16日の共同通信（この記事は一部正確ではありません）で、去年12月21日に米国で公表された2006年に行われた第32回の実態調査の結果が報道されたので紹介したいと思います。

この調査は、ミシガン大学が国立薬物濫用研究所（NIDA:National Institute on Drug Abuse）の協力を得て毎年行っているもので、2006年は151校17,026人の８年生（日本の中学２年）、123校16,620人の10年生（日本の高校１年）、136校14,814人の12年生（日本の高校３年）をサンプリング調査しています。

NIDA-Sponsored Survey Shows Decrease in Illicit Drug Use among Nation's Teens but Prescription Drug Abuse Remains High（NIDA News release 2006.12.21）
　　http://www.drugabuse.gov/newsroom/06/NR12-21.html

　Monitoring the Future 2006 Full Press Release on Drug Use from the University of Michigan
　　http://www.drugabuse.gov/Newsroom/06/MTF2006Drug.pdf [PDF 924KB]

調査結果によれば、米国の中学生と高校生の間では、マリフアナや麻薬などの違法薬物を使用したことのある生徒が減っているとしながらも、この１年間に８年生で21％、10年生で36％、12年生で48％の生徒がこの1年間に何らかの違法薬物に手を出しているという。また今回は、従来の違法薬物に代わって処方薬や市販薬の濫用が広がっていることを明らかにしています。

ここでいう処方薬の成分は、日本では麻薬扱いのオキシコンチンや、日本で未発売の Vicodin、アンフェタミンなどで、鎮痛剤として使われている Vicodinについては、親の薬の保管してあるところからこっそり盗んで飲む（12年生で9.7％）ということが少なくないようです。

また、今回の調査では初めて、過去１年間に気分を高揚させる（getting high）目的で、市販の風邪薬や咳止め薬を試したことはないかを尋ねたところ、８年生で4.2％、10年生で5.3％、12年生で6.9％が「ある」と回答、その多くがデキストロメトルファン配合の咳止めとのことです。

Partnership for Drug Free Americaの責任者は、「処方薬や市販薬を意図的に多く服用することは、街頭で密売されているドラッグを濫用することよりも安全であるという間違った認識がある」と指摘し、「今このときも、６つの医薬品をビールといっしょに飲んでいる子どもたちがいるという現実を親は知らない」と懸念を表明、政府機関では処方せん医薬品の濫用防止のキャンペーンに力を入れるとしています。

日本でも、若者の薬物濫用対策が叫ばれていますが、まずは米国のようなきちんとした実態調査を行う必要があるのかもしれません。

なお関連調査や過去の調査結果もWEBで公表されています。

Moniteringfuture Webサイト
　　http://www.monitoringthefuture.org/pubs.html
　Monitoring the Future Survey（NIDA）
　　http://www.drugabuse.gov/DrugPages/MTF.html

関連情報：TOPICS　2006.12.06　急増するデキストロメトルファンの濫用（米国）
　　　　　　The Partnership For a Drugfree America ウェブサイト
　　　　　　　http://www.drugfree.org/

参考：共同通信１月16日
　　　　Study: Teens Use Medicines to Get High
　　　　　　（ABC News 2006.12.21 AP通信配信）
　　　　　http://www.abcnews.go.com/Health/wireStory?id=2742949
　　　　Teens' Rx Drug Abuse Is Rising（WebMD 2006.12.21）
　　　　　http://www.webmd.com/content/article/130/117880.htm