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2006.10.27 インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究(11/26更新)
2006.10.27 医薬品・医療用具等安全性情報229号
2006.10.27 禁煙防止教育のためのDVD
2006.10.23 重篤副作用疾患別対応マニュアル案が示される(2007.1.15更新)
2006.10.23 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.21
2006.10.21 糖尿病治療薬のリスクとベネフィット
2006.10.21 FDA、新タイプの糖尿病治療薬を承認
2006.10.20 がん薬物療法研修認定薬剤師
2006.10.19 セレコキシブが年内にも承認へ
2006.10.19 薬の有害事象のために入院する高齢者は若者の6.8倍(米国報告)
2006.10.16 小児救急医療電話相談事業の進ちょく状況
2006.10.16 厚労省、来年度から電話による妊婦の薬相談窓口の設置を検討
2006.10.16 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会(10/20リンク追加)
2006.10.15 認知症と非定型抗精神病薬
2006.10.15 FDA、アリセプトの高度アルツハイマーへの使用を承認
2006.10.12 認知症治療薬の使用制限(英国)
2006.10.12 自閉症とリスペリドン
2006.10.12 保険薬局協会がFAX分業の廃止を求める(10/18リンク追加)
2006.10.10 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.20
2006.10.01 がん情報サービスがスタート(10/20リンク追加)
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2006.10.27 インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究
インフルエンザ(特に乳幼児)においては、発熱後のけいれんや、意識障害、特有の異常行動・言動など、さまざまな随伴症状が報告されていますが、これらの症状が、インフルエンザ脳症の前駆症状なのか、それともインフルエンザの一般的な随伴症状であるのか、あるいは治療に使用した薬剤の影響が拘わっているのかなど、昨年来議論の的になっています。
そこで、横田俊平氏(横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学教授)を中心とする厚労省の研究班では、全国12都県の小児科医師に対して「医師用調査票」と「患者・家族用調査票」を用意し、インフルエンザ経過中に生じた臨床症状、使用した薬剤、それぞれの経過などについての記載を依頼、この調査票の結果を集計後統計学的解析を行い、その結果を公表しています。
インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究について(厚労省10月20日)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1020-2.html
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/dl/tp1020-2.pdf[PDF:1346KB]
概要版は、医薬品・医療用具等安全性情報229号の参考資料に掲載
報告書によれば今回の研究では、次のような点が明らかになったそうです
- 10.5%に異常言動が出現した。この数字は、従来の報告と比較して高頻度だが、けいれん(0.6%)、熱性けいれん(2.6%)、意識障害(1.3%)などは従来の成書に記載の頻度と同程度であった
- 患者家族用調査票によれば、具体的な異常言動は、おびえ・恐怖(8.7%)、幻視・幻覚(5.9%)、うわごとを言う、突然大声で歌い出す(12.8%)、理由なく怒り出す、泣き出す、ニヤリと笑う(8.5%)、自分の指を食べ物のように噛む(0.7%)の頻度で現れ、38℃以上の発熱のみられる発病第1日、2日の夜間に発現することが多かった。ただ、異常言動の定義および内容に曖昧な点があり、また昨年末よりメディアを中心にインフルエンザの異常言動についての報道が繰り返されてきたために、過剰に報告された可能性もある。
- タミフルと異常言動との関連性はタミフルを未使用での発現頻度は10.6%であったのに対し、タミフル使用では11.9%と有意差を認めなかった
- タミフル使用とけいれん、熱性けいれんあるいは意識障害の出現、中耳炎・筋炎の併発の間には相関性が認められなかった
- アセトアミノフェンを使用したものでは、異常言動、けいれん、熱性けいれん、意識障害等の臨床症候の出現が有意に増加していた
- マクロライド系抗菌薬を使用したものでは肺炎の併発が増加、ペニシリン系抗菌薬では中耳炎の併発が増加、セフェム系抗菌薬では異常言動の出現阻止、肺炎・クループの併発の増加という関連性がみられた
今回の調査研究について、昨年、タミフル服用後の異常行動死の事例を発表した、NPO法人「医薬ビジランスセンター(http://npojip.org/)」は、『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No71で、「報告書に記載されたデータを適切に集計し直すと、少なく見積もってもタミフルはタミフル未服用状態、あるいは他の薬剤のみの使用中に比較して2.9倍から4.8倍も異常言動を起しやすいと結論付けられる」とし、タミフルによるリスクとベネフィットとのバランスの再検討が必要であると指摘しています。
さらに、この調査研究について同速報版では、「非ステロイド抗炎症剤の使用(実際には、ジクロフェナクやメフェナム酸が同時に処方されているケースは少ないと思うのですが)について全く調査を行っておらず、タミフル非服用者の異常言動、せん妄が非ステロイド抗炎症剤の影響で出現している可能性があったとしても、その影響について何も解析できない」とする問題点も指摘し、再びタミフルのリスクとベネフィットについて、議論が再燃しそうです。
厚労省研究班のデータを正確に読めば タミフルで3〜5倍高頻度に異常言動!
(『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No71 10月28日)
http://npojip.org/sokuho/061028.html
この発表を受け、「薬害タミフル脳症被害者の会」代表とNPO法人「医薬ビジランスセンター」の浜六郎理事長が17日、厚労省を訪れ、(1)タミフル服用後の異常行動とその後の事故死、睡眠中の突然死について因果関係を認め、国民に適切な情報提供をする(2)副作用被害救済制度で、公正な判定に基づき被害救済することを求める要望書を提出したと伝えられています。
関連情報:タミフルと異常行動:厚生労働省に対し報告書の撤回を要望
(『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No72 11月22日)
http://npojip.org/sokuho/061122.html
薬害タミフル脳症被害者の会HP
http://www.tamiflu89.sakura.ne.jp/
TOPICS 2005.11.14 タミフル服用後の異常行動死は、副作用によるものか?
参考:11月17日共同通信
11月18日朝日新聞
http://www.asahi.com/health/news/TKY200611180216.html
毎日新聞11月21日
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/archive/news/2006/11/20061122ddm016040056000c.html
2006.10.27 医薬品・医療用具等安全性情報229号
厚労省は10月26日、医薬品・医療用具等安全性情報229号を公表しました。
今回の安全性情報では、医療事故防止等のための医療用医薬品へのバーコード表示の実施について(2008年9月より実施)、市販直後安全性情報収集事業(定点観測事業)について(今年度より開始中)などの事業の概要が紹介されています。
全文はこちらです。
関連情報:TOPICS 2006.05.02 市販直後安全性情報収集事業
2006.10.27 禁煙防止教育のためのDVD
社団法人日本循環器学会の禁煙推進委員会(http://www.j-circ.or.jp/kinen/)は、このほど喫煙防止教育用のDVDを制作した。
このDVDは2005年6月に作成されたDVD『今から始める喫煙防止教育』の第2版で、「たばこ、やめてね」(小学校1・2年生用、6分)「タバコのけむりはあぶないよ!!」(小学校3・4年生用、10分)「タバコって本当はどんなもの?」(小学校5・6年生用、12分)「考えてみよう タバコと健康」(中学生・高校生用、14分)「タバコか健康か あなたはどちらを選びますか」(一般・大学生用)の年代別の5部構成になっている。
DVDでは、低学年の子どもでもわかりやすいようにCGやアニメーションを用いてたばこの害をわかりやすく説明している他、受動喫煙や規制が進む海外の状況、今春から始まった禁煙治療の保険適用などの最新情報も盛り込まれているという。
日本循環器学会では、このDVDを今後全国のすべての小中高校、養護学校、大学・短大などに計約44,000枚を無料配布する。同会では、「できるだけ早くたばこ問題の知識を身につけてほしい」としている。
なおこのDVDは、少年写真新聞社から一般向けにも販売されていて、私たちでも入手が可能だ。
ビジュアル教材「今から始める喫煙防止教育」のご案内
(日本循環器学会禁煙推進委員会2005年6月)
http://www.j-circ.or.jp/kinen/public/public.htm#dvd
最新改訂 DVD 今から始める喫煙防止教育 2版(少年写真新聞社)
http://www.schoolpress.co.jp/kanren/others/v_kituen.htm
日本循環器学会の禁煙推進委員会では、このDVD以外にも、禁煙ムービーをHPに掲載していて、ダウンロードが可能だ。
禁煙動画(日本循環器学会の禁煙推進委員会)
http://www.j-circ.or.jp/kinen/movie/index.htm
参考:朝日新聞10月25日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200610250285.html
2006.10.23 重篤副作用疾患別対応マニュアル案が示される
19日、厚労省の重篤副作用総合対策検討会が開かれ、厚労省が関連学会と連携して昨年度から検討をすすめていた「重篤副作用疾患別対応マニュアル」のうち、スティーブンス・ジョンソン症候群、間質性肺炎、薬剤性パーキンソニズム、横紋筋融解症、偽アルドステロン症など4領域9副作用疾患のマニュアル案が示され、検討が行われました。
第2回重篤副作用総合対策検討会(2006年10月19日開催)
資料:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/s1019-4.html
議事録:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/txt/s1019-3.txt
今回のマニュアルでは、冒頭の部分で「患者の皆様へ」という項目があり、患者やその家族に知ってもらいたい副作用の概要、初期症状、早期発見・早期対応ポイントなどが、分かりやすい言葉やイラストを用いて解説されています。
さらに、医療担当者向けには「早期発見と早期対応のポイント」「副作用の概要」「副作用の判別基準(判別方法)」「判別が必要な疾患と判別方法」「典型的症例概要」「引用文献・参考資料」の順で、情報が詳しく整理されていて、薬剤師の現場でもたいへん有用なものとなりそうです。
薬事日報によれば、今回示された対応マニュアル案に対して委員などから、「副作用が報告されている医薬品名をどこまで掲載するのか」「患者向けの部分は副作用が起こることばかりの記載なので、工夫が必要ではないか」とする意見が出されたことから、今後、厚労省が関係学会と打ち合わせて修正版を作成し、委員の了解を得た上で年内を目標に公表することを決めたそうです。
なお、今回の検討会では、新たに10領域、16の副作用対応マニュアルの作成をすすめることが了承されています。検討会では2008年度末までに、120の副作用マニュアルの作成を予定していて、承認された対応マニュアルは、今後「医薬品医療機器総合機構」のホームページに掲載される予定です。(11/21に掲載されました)
重篤副作用疾患別マニュアルの作成状況(平成17年度〜)
(★印は作成済みです。厚労省HPにリンクされています)
領域 | 対象副作用疾患 |
---|---|
皮膚 | ★スティーブンス・ジョンソン症候群 [PDF:1036KB] [患者さん向け・PDF:138KB] ★中毒性表皮壊死症(中毒性表皮壊死融解症) [PDF:667KB] [患者さん向け・PDF:140KB] 薬剤性過敏症症候群(現在作業中) 急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)(今回追加) |
肝臓 | 薬物性肝障害(現在作業中) |
腎臓 | 急性腎不全、 間質性腎炎(以上、現在作業中) ネフローゼ症候群(今回追加) |
血液 | 無顆粒球症、再生不良性貧血、血小板減少症、貧血、血栓症、播種性血管内凝固(以上、現在作業中) |
呼吸器 | ★間質性肺炎 [PDF:2237KB][患者さん向け・PDF:150KB] ★急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群(急性呼吸促迫症候群) [PDF:1278KB][患者さん向け・PDF:126KB] ★非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作 [PDF:789KB] [患者さん向け・PDF:164KB] 肺水腫、急性好酸球性肺炎(以上、今回追加) |
消化器 | 麻痺性イレウス、消化性潰瘍、偽膜性大腸炎(以上、現在作業中) |
膵臓 | 膵炎(急性膵炎)(今回追加) |
心臓・循環器 | 心室頻拍、うっ血性心不全、心機能障害(以上、現在作業中) |
神経・筋骨格系 | ★薬剤性パーキンソニズム [PDF:486KB] [患者さん向け・PDF:150KB] ★白質脳症 [PDF:656KB][患者さん向け・PDF:160KB] ★横紋筋融解症 [PDF:517KB][患者さん向け・PDF:128KB] 末梢神経障害(現在、作業中) 不随意運動(今回追加) |
精神 | 悪性症候群、うつ病(以上、現在作業中) |
代謝・内分泌 | ★偽アルドステロン症 [PDF:430KB][患者さん向け・PDF:116KB] 低血糖(現在作業中) 甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高血糖(糖尿病)(以上、今回追加) |
過敏症 | アナフィラキシー、蕁麻疹・血管浮腫(以上、現在作業中) |
感覚器 | 視覚障害(視力低下、視野狭窄)、緑内障、眼圧上昇(今回追加) |
口腔 | 口内炎(今回追加) |
骨 | 骨壊死、骨粗鬆症(今回追加) |
泌尿器 | 尿閉(排尿困難)(今回追加) |
関連情報:keywordsの「患者向け医薬品情報」のページに、一覧表を作成しました。
TOPICS 2005.07.20 重篤副作用疾患総合対策事業の検討が始まる
参考:副作用9疾患にマニュアル‐厚労省検討会
(薬事日報 HEADLINE NEWS 10月23日)
http://www.yakuji.co.jp/entry1470.html
日刊薬業ヘッドラインニュース(10月23日)
読売新聞10月19日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061020ik01.htm
2006.10.23 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.21
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、10月19日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.21公表しました。
アプロチニン(トラジロール注)、ワルファリン、イマニチブ(グリベック)、テリスロマイシン(ケテック)、NSAIDSなどの情報が掲載されています。
全文はこちら(PDF)です。
2006.10.21 糖尿病治療薬のリスクとベネフィット
18日、ピオグリタゾン(アクトス)についてのレビューがコクランライブラリーに掲載され、「ピオグリタゾンによって、死亡率・疾病率・副作用・コスト・QOLについて、説得力のあるエビデンスが提供されない」とする結論が示されたことから、PJ誌(英国薬剤師会誌)などがこのレビューを取り上げています。
Pioglitazone for type 2 diabetes mellitus
http://www.cochrane.org/reviews/en/ab006060.html
このレビューは、2型糖尿病患者約6,200人を対象とした、22のランダム化比較試験(24週〜34.5ヶ月)を検討したもので、研究者らは浮腫、体重増、心不全などの副作用の発現率や、HbA1cの低下がメトホルミンなどの従来タイプの経口糖尿病薬とあまり変わらないとして、「ピオグリタゾンの使用は、現実的なベネフィットが実証された患者のみに制限すべきである。またベネフィットは、HbA1cといった臨床的データだけではなく、合併症やQOLの改善などの患者指向のアウトカム(patient-oriented outcomes)も取り入れられるべきである。」と論じています。
PJ誌などによれば、今回のレビューについてメーカーでは、「多くの医師はリスクよりもベネフィットが上回っていると考えている。また、このレビューのサマリーでは、HDL-Cを改善し、TGを下げることにより、血圧も下がるなど、最近明らかになったピオグリダゾンの有用性が言及されていない」として、サマリーやアブストラクトの問題を指摘しています。
現場でも、「HbA1cは改善したけれども体重が減らない」といった不満や不安を患者さんから耳にすることがあるのではないでしょうか? 検査データの改善といった具体的な数値も確かに大事かもしれませんが、近い将来、患者の立場にたった、真の意味での patient-oriented outcomes とは何かを考える必要がありそうです。
参考:Cochrane review questions value of pioglitazone
(PJ Online NEWS 2006.10.21)
http://www.pharmj.com/Editorial/20061021/news/p473pioglitazone.html
Widely Prescribed Diabetes Drug Falls Short of Promise, Says New Review
(DG News 2006.10.18)
http://www.docguide.com/news/content.nsf/news/852571020057CCF68525720B00544B8B
10月21日 21:30 掲載
2006.10.21 FDA、新タイプの糖尿病治療薬を承認
FDAは17日、DPP−4(ジペプチジル・ペプチダーゼIV)阻害薬と呼ばれる新しいタイプの糖尿病治療薬シタグリプチン(商品名:Januvia)を承認したと発表しました。
FDA Approves New Treatment for Diabetes(2006.10.17)
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2006/NEW01492.html
このシタグリプチンは、消化管ホルモンであるインクレチン(GLP-1およびGIP)を不活化させるDPP-IVを阻害する薬理作用を有していて、その結果、活性化インクレチンのレベルが高まり、グルコース依存的に膵β細胞からのインスリン分泌が増加、膵α細胞からのグルカゴン分泌を低下させることにより、血糖値を下げると考えられています。また、GLP-1には胃排泄能低下作用があり血糖上昇が穏やかになり、インスリンを産生するランゲルハンス島β細胞の増殖を促す可能性が指摘されています。
1日1回の服用で、1錠4.86ドル(従来タイプより50セント高い)の価格が予定されていて、副作用としては、上気道感染や咽頭痛、下痢などがあるそうです。
DPP-IV阻害薬は、この他にノバルティス社の vildagliptin(商品名:Galvus)の開発がすすめられていて、こちらも近く米国では承認されるもようです。
シタグリプチンは、日本では小野と万有との共同開発が行われていて、第V相臨床試験が最近始まったばかりです。
新しい作用機序の経口2型糖尿病治療薬
シタグリプチン/Sitagliptin (DPP- 4阻害薬) の日本国内での第V相臨床試験開始
(小野薬品工業株式会社・万有製薬株式会社プレスリリース 2006.8.4)
http://www.ono.co.jp/jpnw/news/pdf/2006/n06_0804.pdf
資料:米国メルク社、シタグリプチン(MK-0431/ONO-5435) に関する
第U相臨床試験の成績を米国糖尿病学会にて発表
(万有製薬HP、米国メルク社リリース 2005.6.13)
http://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2005/merck_0613.html
参考:経口血糖降下薬(フリー百科事典 ウィキペディア Wikipedia)
U.S FrontLine (2006.06.12)
http://www.usfl.com/Daily/News/06/06/0612_022.asp
FDA OKs New Type 2 Diabetes Drug(WebMD 2006.10.17)
http://www.webmd.com/content/article/128/117148.htm
2006.10.20 がん薬物療法研修認定薬剤師
日病薬(日本病院薬剤師会 http://www.jshp.or.jp/)では現在、厚労省の補助金により、「がん専門薬剤師研修事業」を進めていますが、そのハードル高さから、「年間300人、5年間で1500人養成」という目標が達成できるのかを危ぶむ声が出されていました。
そこで、日病薬執行部では、「がん専門薬剤師」の認定を得るため必要な、3ヶ月間程度の研修と集中教育講座の受講の部分(実務研修要件)については、新たに「がん専門薬剤師研修事業」として独立させて、まず癌薬物療法に精通した薬剤師の養成に着手する方針をかためたそうです。
がん専門薬剤師研修事業に係る取り組みについて(日病薬10月1日)
http://www.jshp.or.jp/cont/061010-1.pdf
薬事日報によれば、今後日病薬では、現在研修が行われている「がん専門薬剤師」については指導的な立場として養成を行い、新たに設ける「がん薬物療法研修認定薬剤師(仮称)」については実務者として養成するとしていて、まず癌薬物療法に精通した薬剤師の一定数の確保をしたいとの考えのようです。
参考:【日病薬】癌領域の薬剤師認定を2本立てに
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.10.17)
http://www.yakuji.co.jp/entry1411.html
2006.10.19 セレコキシブが年内にも承認へ
厚労省の薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会が18日に開かれ、Cox-2阻害作用を持つNSAIDSのセレコキシブ(米名:セレブレックス)など4成分の承認可否が審議され、承認して差し支えないとの結論を得たそうです。
セレコキシブなどのいわゆるコキシブ製剤は、NSAIDSに特有の消化器障害が少ないため、欧米では関節リウマチ、変形性関節症などに広く使われてきましたが、心血管系の副作用が高まるとして、いくつかの製品が販売中止となり、なかには裁判がおこされているものもあります。
しかし、最近の報告ではコキシブ製剤の心血管系の副作用のリスクは、従来型のNSIADSとあまり変わらないとする報告も行われていて、より安全性の高いコキシブ製剤については、リスクとベネフィットを考えて承認してもよいとする結論になったのではないかと思います。
薬事日報によれば、同会では「国内使用では投与量が低く、臨床試験では問題となるような副作用は認められていない」として、承認条件なしで差し支えないとされたそうですが、欧米での状況を考慮して、添付文書の使用上の注意などで、長期間の使用や心疾患のある患者への使用に注意喚起が行われるようです。市販後は、私たちもこういった点を念頭に置くことが必要でしょう。
セレコレキシブは早ければ年内にも正式承認される見通しで、来年にはアステラス社から「セレコックス錠」の名前で販売されると思われます。
関連情報:Heart Attack Risks, Pain Relief Similar for Most Osteoarthritis
Drugs
(Agency for Healthcare Research and Quality Press Release 2006.9.26)
http://www.ahrq.gov/news/press/pr2006/nsaidpr.htm
Comparative Effectiveness and Safety of Analgesics for Osteoarthritis
(Effective Health Care Final Reports、AHRQ 2006.9.26)
http://effectivehealthcare.ahrq.gov/synthesize/reports/final.cfm?Document=10&Topic=31
TOPICS 2006.09.14 NSAIDSと心疾患リスク
参考:コキシブ製剤が初登場‐医薬品第一部会が承認を了承
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.10.19)
http://www.yakuji.co.jp/entry1439.html
Risfax Headline 2006.10.19
2006.10.19 薬の有害事象のために入院する高齢者は若者の6.8倍(米国報告)
米国CDC(疾病管理予防センター)とFDAの研究チームはこのほど、病院のED(emergency department、緊急治療室)に薬の有害事象のために訪れた通院患者(outpatient)についてのデータをまとめ、その報告がJAMAに掲載されています。
National Surveillance of Emergency Department Visits for Outpatient Adverse
Drug Events(JAMA. 2006;296:1858-1866)
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296/15/1858
このレポートは、2004年、2005年の2年間に63の代表的な病院に訪れた21,298人の事例を分析したもので、これを全米規模にあてはめると、年間701,000人以上(人口1000人あたり2.4人)が薬の有害事象のためにEDを訪れ、うち約117,000人(16.7%)が入院が必要なケースだったという。
また、これを高齢者と若者で比較すると、訪問数で高齢者は若者の2.4倍(人口1000人あたり4.9人)、入院が必要なケースで6.8倍(人口1000人あたり1.6人)に達するなど、通院治療を受けている高齢者の薬の有害事象の発現リスクが若者より高いとするデータが示されています。
一方、有害事象の内訳ですが、インスリンによる低血糖、アモキシシリンによる皮膚アレルギー、ワルファリンによる出血傾向など、18の薬剤が原因薬剤として特定され、うち16は20年以上前から使われている薬剤で占められたそうです。そして、高齢者については、インスリンやワルファリン、ジゴキシンによるものが訪問者数で33.3%、入院が必要なケースで41.5%を占めるなど、モニタリングが必要な薬剤が上位を占めたそうです。
2004年の調査によれば、米国では82%の人が、処方薬、OTC、健康補助食品などなんらかのくすりを使っているといわれ、また30%以上の人が、5種類の以上の薬剤を使用しているといわれています。研究者らは、有害事象が発現しても、EDを訪れないケースも少なくないとして、実際の数値はさらにこれより大きくなるのではないかとしています。
この結果をうけ研究者らは、これらの薬剤のモニタリングの重要性や、医師が患者とのコミュニケーションをより密にするよう求めています。
参考:Medpagetoday 2006.10.18
ADEs land 700,000 Americans in emergency room annually
(pharmacist.com 2006.10.24)
http://www.pharmacist.com/articles/h_ts_1296.cfm
Bad drug reactions send over 700,000 to ER yearly
(2006.10.17 AP通信配信)
http://www.southcoasttoday.com/daily/10-06/10-18-06/05health.htm
http://www.cbsnews.com/stories/2006/10/17/ap/health/mainD8KQJD2G0.shtml
Bad Events From Drugs Are Common(WebMD 2006.10.18)
http://www.webmd.com/content/article/128/117147.htm
10月19日 12:45掲載
2006.10.16 小児救急医療電話相談事業の進ちょく状況
現在、夜間や休日など、診療時間外に、子どもの急な病気やけがに関する相談を受付ける場として、「小児救急医療電話相談事業」が、都道府県レベルで行われていますが、厚労省は16日、10月2日現在の全国の進ちょく状況を発表しました。
小児救急医療電話相談事業(#8000)について(厚労省10月16日)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
それによれば、現在事業が行われているのは33都道府県(11月より開始の長野県も含む)で、多くの都道府県では、19:00頃から23:00頃までの夜間に限られているが、大阪府や大分県では翌朝までの深夜の時間帯でも行われている。
関連情報:TOPICS 2005.11.09 11月15日より、「とちぎ子ども救急電話相談事業」が開始
2006.10.16 厚労省、来年度から電話による妊婦の薬相談窓口の設置を検討
現在、国立成育医療センター内の「妊娠と薬情報センター」では、医師と薬剤師が1都6県を対象に妊婦の薬相談に応じていますが、16日の朝日新聞によれば、厚労省では来年度中にこの相談窓口を全国の10医療機関を目標に広げて、新たに電話相談も始めると伝えています。
記事によれば、昨年10月のセンターの開設から1年間に寄せられた相談は260件で、薬剤は抗不安薬が半数近くを占め、約3割がかぜ薬、残りは高血圧やてんかんなど慢性疾患の薬についてだったという。
現在同センターでは、約400品目の薬のデータベースを作り、症例ごとの解釈を加え回答しているが、来年度以降は医師や薬剤師の研修を行い、電話相談にも応じられるようにするという。
また同センターでは、服薬状況や妊娠経過に関する情報を蓄積するために、相談者に出産後の様子をはがきで報告してもらう取組みも行っている。
関連情報:TOPICS 2005.09.28 10月より「妊娠と薬情報センター」が事業を開始
参考:朝日新聞10月16日
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200610160224.html
2006.10.16 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会
厚労省は16日、有効で安全な医薬品を迅速に提供するため、医薬品の承認審査のあり方や実施体制、安全対策等に係る事項等について幅広く検討するために、「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」を今月30日に開催すると発表した。
「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」の開催について
(厚労省10月16日)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1016-1.html
この検討会は、医学、薬学等の有識者のほか、患者団体、医薬品業界の関係者等により構成され、今後、「承認審査の方針や基準の明確化と市販後安全対策への取組み」「治験相談・承認審査の体制の充実」「その他医薬品の安全かつ迅速な提供に資する事項」についての検討が行われる。
関連情報:ドラッグ・ラグの解消へ、厚労省が検討会を設置
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.10.19)
http://www.yakuji.co.jp/entry1440.html
2006.10.15 認知症と非定型抗精神病薬
近年、アルツハイマー型痴呆症に伴う、他者への攻撃性、妄想や幻覚などの行動障害を改善するために、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬が使われることがありますが、このほど、南カルフォルニア大学の研究グループが、これらの薬剤の有効性と安全性についての研究を行い、The New England Journal of Medicine に論文を発表しています。
Effectiveness of Atypical Antipsychotic Drugs in Patients with Alzheimer's
Disease
(NEJM 355:1525-1538)
http://content.nejm.org/cgi/content/short/355/15/1525
この研究は、ナーシングホームなどで暮らしていない、自宅療養中の421人の患者に行われた二重盲検試験で、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、プラセボのいずれかが投与され、その経過を比較しています。
結果によれば、36週間の間に82%が何らかの理由で投与が中止され、投与中止までの期間は平均8週間だった。この期間は服用群とプラセボ群で有意な差はなかったそうです。
このうち、運動失調や鎮静、振戦、体重増加などの副作用が原因で投与が中止されたのは、オランザピン群で24%、クエチアピン群で16%、リスペリドン群で18%に達し、これはプラセボ群の5%と有意な差があったそうです。
また、効果がないとして中止した時期は、オランザピン群で22.1週間、リスペリドン群で26.7週間で、これはクエチアピン群の9.1週間、プラセボ群の9.0週間と有意な差があったそうです。
一方、12週間後の症状の改善について比較したところ、オランザピン群で32%、クエチアピン群で26%、リスペリドン群で29%と、プラセボ群の21%と比較し有意な差はみられなかったそうです。
つまりこの研究によれば、認知症患者に対する非定型抗精神病薬の投与は臨床的にはあまり意味がなく、むしろ副作用のリスクの方が大きいとしています。
FDAでは、2005年4月に「非定型抗精神病薬を高齢者認知症患者の行動障害の治療目的で用いると患者の死亡率がプラセボに比べて死亡率が有意に上昇する(1.6倍〜1.7倍)」という勧告を出し、ラベリングでこういった目的で使わないよう黒枠警告で注意喚起をしてはいますが、実際には米国では現在でもかなり使用されていることから、今回の論文を各紙が取り上げています。
関連情報:
FDA Issues Public Health Advisory for Antipsychotic Drugs used for Treatment of Behavioral Disorders in Elderly Patients(FDA Talk Paper 2005.4.11)
http://www.fda.gov/bbs/topics/ANSWERS/2005/ANS01350.html
参考:Antipsychotic Medications Used to Treat Alzheimer’s Patients Found Lacking
(NIH News 2006.10.11)
http://www.nih.gov/news/pr/oct2006/nimh-11.htm
Antipsychotic Drugs for Alzheimer's?(WebMD 2006.10.11)
http://www.webmd.com/content/article/128/117082.htm
Study: Some Alzheimer's Drugs Very Risky
(Washington Post 2006.10.11 AP通信配信)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/10/11/AR2006101101588.html
Little Benefit Seen in Antipsychotics Used in Alzheimer's
(Washington Post 2006.10.12)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/10/11/AR2006101101595.html
小田陽彦,前田潔:老齢精神障害の特徴と非定型抗精神病薬:日薬雑誌 58,861-864,2006
2006.10.15 FDA、アリセプトの高度アルツハイマーへの使用を承認
米国FDAは13日、アルツハイマー型痴呆(認知症)治療剤ドネペジル(アリセプト)について、高度アルツハイマー型痴呆(認知症)への効能・効果を追加すると発表した。
FDA Approves Expanded Use of Treatment for Patients With Severe Alzheimer's Disease
(FDA IMMEDIATE RELEASE 2006.10.13)
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2006/NEW01491.html
FDAでは、日本とスウェーデンで500人以上の高度アルツハイマー型痴呆症を対照に行われた24週間の無作為化二重盲検試験での結果を元に承認を行ったもので、米国では唯一アルツハイマー型痴呆症については全ステージで本剤での使用が可能となった。
「アリセプト」、FDAより高度アルツハイマー型痴呆(認知症)の効能・効果追加の承認を取得
(エーザイ社プレスリリース10月14日)
http://www.eisai.co.jp/pdf/others/20061014others.pdf
Donepezil in patients with severe Alzheimer's disease: double-blind, parallel-group,
placebo-controlled study
(Lancet. 2006 Apr 1;367(9516):1057-65)
PubMed(PMID:16581404)
2006.10.12 認知症治療薬の使用制限(英国)
英国では昨年来、ドネペジル(アリセプト)を始めとする認知症治療薬について、費用対効果からその使用を制限する案を打ち出していましたが、NICE(国立医療技術評価機構)は11日、7月13、14日に行われた公聴会で出されたアルツハイマー病協会、認知症ケア財団、英国看護協会、英国精神科医師会や認知症治療薬メーカーによる使用制限に反対する意見陳述について、すべての意見を棄却すると発表し、英国内では大きな反発を招いています。
NICE announces Alzheimer's disease drug appeal outcome and NHS guideline to support patients and carers
(National Institute for Health and Clinical Excellence 2006.10.10)
http://www.nice.org.uk/page.aspx?o=373237
日本では、ドネベジルは軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆と診断された患者のみが使用することになっていますが、英国では、認知症治療薬が一人当たり1日2.5ポンドでかかるとして、Memantineを除きドネペジルなどは軽度から中等度の人には補助的な使用のみとして、使用は推奨できないとする案が示されていました。
エーザイ社の現地法人と共販のファイザー社は「NICEは、患者様や患者団体、研究者、医師から集められた認知症治療薬の軽度および中等度のアルツハイマー病治療におけるベネフィットに関するエビデンスを無視しました。イングランドとウェールズは、世界で唯一、アルツハイマー病の初期段階での治療の機会を逸する国となりました。」とする遺憾の意を発表し、また英国各紙も今回の決定を疑問視する記事を掲載しています。
英国NICEが軽度アルツハイマー病治療における 認知症治療薬使用制限案見直しを棄却
(エーザイ社 2006.10.11)
http://www.eisai.co.jp/others/061011notice.html
タイムズ紙によれば、認知症治療にかかる費用は6000万ポンド程度であり、NHSの薬剤予算の1%にも満たないという。しかしその一方で、英国では患者一人あたり年間2万5000ポンドもかかる乳がん治療薬ハーセプチンをはじめ、がん治療薬の保険による使用をめぐって大きな論議になるなど、限られた医療資源をどこに重点的に配分するかという難しい判断に迫られているようです。
認知症よりもがん治療を優先すべきとの動きにも見えなくはありませんが、高齢化社会を迎えるわが国でも今後、英国と同じような問題がおそらく出てくるのではないでしょうか。
参考:Alzheimer's drugs appeal refused(BBC NEWS 2006.10.11)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/6036519.stm?ls
Briefing: controversial drug decisions by Nice
(TIMES ON LINE 2006.10.11)
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,2-2399013,00.html
2006.10.10 自閉症とリスペリドン
FDAは6日、小児や思春期の自閉症に関連する衝動性の治療剤として、リスペリドン(リスパダール)を承認した。
FDA Approves the First Drug to Treat Irritability Associated with Autism,
Risperdal
(FDA IMMEDIATE RELEASE 2006.10.6)
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2006/NEW01485.html
FDAによれば、5〜16歳の156人の患者にリスペリドンを8週間投与したところ、投与しない群に比べてリスペリドンを投与した群では、他者への攻撃、自傷行為、かんしゃくなど自閉性特有の行動が大幅に改善されたという。
リスペリドンはすでに、小児の破壊的行動障害が独など世界22カ国で承認、自閉症についても仏など4カ国ですでに承認されていて、日本でも日本小児神経学会、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会が共同で破壊性行動障害の効能追加を行うよう、小児薬物療法検討会議での検討を求めている。
関連情報:第83回アポネットR研究会報告
TOPICS 2006.04.02 小児薬物療法検討会議
2006.10.12 保険薬局協会がFAX分業の廃止を求める
薬事日報によれば、日本保険薬局協会(NPhA)は記者会見を行い、会員薬局が2005年度に院外処方せんのFAX送信に要した費用が5億1594万円に上ったことを明らかにし、これらの経費が何に使われているかとする不満を表明、また「後発品への変更可処方せんが発行されており、患者と対面した上でなければ、調剤できない状況もある」として、FAX分業の廃止に向け、積極的な行動に出る意向を明らかにした。
【保険薬局協会】FAX分業の廃止求める
(薬事日報HEADLINE NEWS 10月11日)
http://www.yakuji.co.jp/entry1354.html
今回のNPhAの問題提起は、会員である日本調剤が薬剤師会を経費削減を理由として全国一斉に退会した後、広島市薬剤師会から院外処方せんのFAX送信料を従来の3倍請求された件が、今までの費用負担に対する不満を爆発させているとみられているが、患者の希望に基づいてFAXコーナーから事前に処方せんを送信し、患者の利便性に寄与しているという現実までも否定することはいかがなものだろうか。
日薬では、2003年3月に「処方せんのファクシミリ送信」に係る見直し・改善についての通達を行い、FAXコーナーの運営や負担のあり方についての留意事項をまとめているが、「ファクシミリにより処方内容をあらかじめ薬局に送信する行為は、患者サービスの向上に資することを目的に行われているもの」として、処方せんのFAX送信自体は否定はしていない。また、厚労省でも患者のQOL向上、在宅医療促進の一環として、FAX調剤→調剤薬の配達を認める方向を示しているからだ。
一方でNPhAでは、医療機関が処方せんをFAX送信している現状をどう考えているのだろうか? 日薬でも先の通達で「ファクシミリの設置・運営の主体は医療機関であることが原則であること」としているが、患者を特定の薬局に誘導する手段として、医療機関がFAX送信が行っている場合も少なくない。
こういった現状を考えれば、費用負担のあり方を早急に再検討する必要はあるものの、医療機関による送信よりもはるかに公平性が図られる点で、薬剤師会主体によるFAX分業は、患者が薬局を自由に選択することのできるひとつの方法をとらえるべきである。彼らがもしこれを否定するのであれば、NphAは医療機関によるFAX送信についても全面廃止を求めるべきである。
保険調剤への経済的メリットがなくなりつつある今日、自らの利益追求を中心に考えるNphaの最近の姿勢には疑問を感じざるを得ない。また、日本調剤の薬剤師会の退会をきっかけに、他のNPhAの会員薬局がいっせいにこれに追随して薬剤師会を退会するのではないかともささやかれている。確かにNPhA会員の薬局は薬剤師会の力を借りなくても、職員を教育し、また顧客を確保することはできるであろう。しかし、学校薬剤師活動や健康に関する自治体主催のイベントなど、地域の保健活動の担い手としての薬局・薬剤師の役割を考えれば、個ではなく薬剤師集団としての取組みを行うことも重要である。
日薬や地元薬剤師会は今回の問題を契機に、薬剤師会の存在意義と入会のメリットや活動の魅力をもっと積極的にアピールすべきである。そして、現場の薬剤師が企業負担ではなく自らの意志で薬剤師会に入会できるような組織づくりを早急に行うことも今求められている。そうしないと、保健医療担当者として地域における薬剤師の役割は間違いなく低下してしまうだろう。
関連情報:【話題の焦点】波紋広がるFAX分業‐NPhAが一石投じる
(薬事日報 HEADLINE NEWS 10月17日)
http://www.yakuji.co.jp/entry1414.html
日本調剤が薬剤師会から退会へ
(薬事日報 HEADLINE NEWS 6月29日)
http://www.yakuji.co.jp/entry639.html
日経DI8月号 NEWS
TOPICS 2006.01.12 厚労省、[FAX調剤/調剤薬の配達]を容認へ
2006.10.10 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.20
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、10月5日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.20を公表しました。
ガドジアミド(オムニスキャン)、タムスロシン(ハルナール)、パッチ型避妊薬などの情報が掲載されています。
全文はこちら(PDF)です。
2006.10.01 がん情報サービスがスタート
「がん対策情報センター」が1日、国立がんセンター(東京都中央区)に開設されました。
がん対策情報センター
http://www.ncc.go.jp/jp/cis/index.html
同センターは、今年成立したがん対策基本法を踏まえて、医療関係者だけでなくがん患者が全国どこからでも、標準的で正しい情報を得られる環境作りを目指して計画されたものです。
また同センターでは、各地域のがん診療拠点病院とネットワークで結んで、がんに関する情報を一元化した「データベース」の構築を目指し、1日、がんの標準的な治療法や病院の情報を掲載したWebサイト「がん情報サービス」も同時にスタートしています
がん情報サービス(国立がんセンターがん対策情報センター)
http://ganjoho.ncc.go.jp/top.html
このサイトでは、部位ごとのがんの解説、標準的な治療法についての情報はもちろんのこと、全国のがん診療拠点病院の住所・電話番号、緩和ケア病棟のある病院の一覧や、各地で行われている一般向け講演会の情報(講演記録もあり)も掲載されています。
また医療関係者向けの情報も充実していて、各種がんのエビデンスデータベース、がん疼痛の治療、国内未承認薬の情報などが掲載されています。
関連情報:「がん対策情報センター」発進で開設式典(薬事日報 HEADLINE NEWS 10月20日)
http://www.yakuji.co.jp/entry1435.html
がん対策(厚労省HP)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan.html
参考:毎日新聞9月30日
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060930k0000e040013000c.html
読売新聞6月16日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20060616ik0f.htm
読売新聞6月17日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060617ik01.htm