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2007.01.25 新型インフルエンザに関するガイドライン
19日、厚労省の「新型インフルエンザ専門家会議」が行われ、国や自治体、国民が取るべき対応策の基本方針を定めたガイドライン(GL)案が公表された。
第4回新型インフルエンザ専門家会議(2006年1月19日開催)
資料(WAM NET 1月23日掲載)
GL案は、早期対応戦略、医療体制、ワクチン、抗ウイルス薬、事業者・職場、家庭・市町村などの13のテーマに分かれていて、今後パブリックコメントを行い、広く国民の意見を聞く他、保健所など現場からの意見聴取なども行い、3月にはGLとして正式にまとめたいとしている。
このうち、私たちと関係の深いワクチン接種GL案と抗インフルエンザ薬GL案について紹介したい。
ワクチン接種GL案では、基本方針として、国外で人から人への感染が確認された段階(フェーズ4A)でプレパンデミックワクチン(国内のワクチンメーカー4社が、東南アジアで流行している鳥インフルエンザのウイルス株より製造。2月までに1000万人分を製造予定)の接種を開始し、医師や看護師、保健所職員などの医療従事者に加え、電気・ガス・水道・食料供給・通信・交通・警察等、社会生活に最低限必要な「社会機能維持者」に優先的に接種するとしている。
また新型ウイルスに有効なワクチン(パンデミックワクチン:新しい分離ウイルス株が特定後に生産されたもの)が完成した場合には、国民全員を接種対象とするが、流行時に数に限りがある場合、重症になりやすい人、大人、子ども、高齢者に分け、状況に応じて接種の優先順位を決める。
一方、抗インフルエンザ薬GL案では、薬剤の流通調整についての考え方を盛り込んでいる。
具体的には、国内発生前では下記のような対応案を
- 都道府県医師会関係者、卸売販売業者、学識経験者、保健所職員等の関係者からなる抗インフルエンザ薬対策委員会等を設置し、新型インフルエンザ発生時におけるタミフ ルの安定供給等を協議する
- 都道府県は備蓄用タミフルの保管場所を非公開とし、十分な警備体制の下で厳重に管理する(国内発生後も同じ)
- 医療機関や住民に対して不要にタミフルを入手しないよう情報提供する
- パンデミック終了後に大量の在庫を抱えても、タミフルの返品を行わないよう医療機関・卸売業者に指導する(国内発生後も同じ)
- 特定の医療機関がタミフルを買い占めていることが発覚し、悪質な場合は医療機関名を公表する(国内発生後も同じ)
また、国内発生後については、下記のような対応案を示している。
- 都道府県は医療機関ごとの届出患者数とタミフルの使用状況に関する情報収集を強化し、買い占めを把握した場合は厳重に指導する
- 備蓄用タミフルは卸売業者を通じて都道府県が指定する医療機関に配送する
さらに、国及び都道府県の備蓄用タミフルが一定量以下となった時の対応としては、予防投与は行わず、入院が必要な重症患者をまず優先し、外来患者については、1.入院が必要な重症患者 2.医療従事者及び社会的機能維持者の外来患者 3.医学的ハイリスク群の外来患者 4.児童、高齢者の外来患者 5.成人の外来患者 等 優先順位で投与を行う。
資料2-12:抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン(案)
新型インフルエンザに関するガイドライン(フェーズ4以降)(案)」への意見募集-医療部門
(パブリックコメント1月31日公示、3月1日締め切り)
参考:新型インフルエンザでガイドライン案‐感染拡大防止が柱
(薬事日報 HEADKINE NEWS 1月24日)
http://www.yakuji.co.jp/entry2072.html
読売新聞1月19日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070119ik11.htm
朝日新聞1月19日
http://www.asahi.com/science/news/TKY200701190298.html