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2007.02.01 後発医薬品変更可の処方せんは17%に留まる(厚労省調査)
厚労省は、31日に開かれた中央社会保険医療協議会・診療報酬改定結果検証部会に、昨年4月の調剤報酬改定の影響を調べるために行われた、後発医薬品の使用状況調査(全国の保険薬局から無作為で抽出された1,000薬局を対象に行われ、635薬局から回答)の速報値を報告しました。
第10回中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会資料(2007年1月31日開催)
資料(厚労省2月7日掲載)資料(WAM NET 2月1日掲載)
後発医薬品の使用状況調査 結果概要(速報)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/01/dl/s0131-9b.pdf
今回の調査は、2006年10月1ヶ月間に取り扱った処方せんについてを詳しく分析したもので、下記のような結果が得られています
薬局数ベース (回答薬局数635) |
薬局数 | 回答のあった薬局に占める割合 | 「後発品への変更可」署名処方せんに占める割合 |
---|---|---|---|
1)1ケ月間の取り扱い処方せんのうち、後発医薬品への変更可欄に処方医の署名等がある処方せんを取り扱った薬局 | 549 | 86.46% | |
2)1のうち、実際に後発医薬品に変更した薬局 | 298 | 46.93% | 54.28% |
3)1のうち、後発医薬品へ変更しなかった薬局 | 210 | 33.07% | 38.25% |
処方せんベース (総取り扱い枚数969,365枚) (1薬局あたりの1,543.57枚) |
総枚数 | 1薬局あたりの平均枚数 | 全処方せんに占める割合 | 「後発品への変更可」署名処方せんに占める割合 |
---|---|---|---|---|
1)うち、「後発医薬品への変更可」欄に処方医の署名等がある処方せん枚数 | 165,402枚 | 268.95枚 | 17.06% | |
2)1のうち、実際に後発医薬品に変更した処方せん枚数 (1品目でも変更した場合も含む) | 9,452枚 | 15.60枚 | 0.97% | 5.71% |
3)2のうち、後発医薬品情報提供料を算定した処方せん枚数 | 5,320枚 | 8.88枚 | 0.55% | 3.22% |
4)1のうち、「後発医薬品へ変更可」欄に処方医の署名等はあるが、処方せんに記載された全ての銘柄について後発医薬品が薬価収載されていないために、後発医薬品に変更することができない処方せん枚数 | 14,278枚 | 25.09枚 | 1.47% | 8.63% |
上記の表の通り、後発医薬品への変更可の処方せんを1枚でも取り扱ったことのある薬局の割合は86.5%に達し、また実際に1枚でも後発医薬品に変更したことのある薬局も54.3%と過半数を超えていました。
しかし、これを処方せんベースでみると、「後発医薬品への変更可の処方せん」は全体の17%にとどまり、さらに実際に後発医薬品に変更された処方せん枚数になると、わずか5.7%にとどまっていることが分かりました。
また、「全ての銘柄について後発医薬品が薬価収載されておらず、変更が不可能だった」処方せんも8.6%に達し、処方医が後発医薬品の有無を知らないままに処方する割合が少なくないこともわかりました。
一方、後発医薬品調剤に伴ってどのくらい薬剤料が安くなったかの調査(177薬局1,032枚)も行っていて、34.09%安くなることがわかったそうです。(記載銘柄により調剤した薬剤料(平均 839.47点)→実際に調剤した薬剤料(平均 605.72点))
後発医薬品への変更で、医療費の抑制につながることは明らかになったものの、処方せん新書式による効果はまだまだ少ないようです。おそらく、厚労省・財務省は後発医薬品の使用(処方)促進策に知恵を絞ることでしょう。
参考:厚労省、変更処方せん枚数は5.7%‐後発医薬品調査の速報値公表
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2006.2.1)
http://www.yakuji.co.jp/entry2142.html
11月9日訂正