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2007.02.23 教育委員会がタミフル服用で保護者に注意喚起(愛知)
既に全国紙でも報道されていますが、16日に愛知県蒲郡市の中学2年での女子生徒が、タミフル服用後にマンションから転落したという出来事がありました。
中日新聞によれば、この件を受けて地元の蒲郡市教育委員会は22日、タミフル服用時に児童生徒が1人にならない配慮を父母に呼び掛けることを申し合わせたと伝えています。来月2日に開催される校長会などを通じてこの申し合わせを伝え、対応は各学校に任せるとのことです。
厚労省では、現在も今回のような異常行動とタミフルとの因果関係を認めてはいませんが、22日の朝日新聞によれば、厚労省は販売元の中外製薬に対し、服用後の情報を徹底して集めるよう指示したと伝えています。
タミフルの添付文書には、重大な副作用として、精神・神経症状の項目に「異常行動、幻覚、妄想」などが記載されていますが、服薬指導の際に私たちはこのことをきちんと伝えているでしょうか? 教育委員会から注意喚起がなされるというのは、現場の医師・薬剤師が異常行動の可能性についての情報を避けていることに他なりません。
米国でも昨年11月、FDAの小児諮問委員会がこの問題を取り上げ、日本と同様因果関係についてはっきりとしないものの、患者向け説明書(Patient Package Insert)を、「インフルエンザでタミフルを服用後(特に子どもの場合)すぐは、自傷と錯乱のリスクが高まる可能性があるので、異常行動の兆候がないかどうか近くで(しっかりと)監視されるべきである」とする、具体的な対応法まで記した変更が行われています。
24日の報道によれば、今回の出来事を受け、市民団体「薬害タミフル脳症被害者の会」(http://www.tamiflu89.sakura.ne.jp/)は23日、「タミフル服用と、その後の飛び降りなど異常行動との因果関係を認め、国民に警告すべきだ」とする要望書を厚労省に提出、また文部科学省に対しても、教育現場を通じタミフルについて注意喚起するよう文書で申し入れたそうです。厚労省はもちろんのこと、文部科学省はどう対応するでしょうか。
また、医薬ビジランスセンター(http://npojip.org/index.html)も21日、タミフル使用後の異常行動や異常行動による事故死例はタミフルによる可能性が強いことを、緊急情報として医療関係者ならびに国民に、確実に警告することなどを求めた要望書を提出しています。
タミフル(リン酸オセルタミビル)の害に対する適切な対処を求める要望書
(医薬ビジランスセンター 2月21日)〔PDF:872KB〕
http://npojip.org/sokuho/tamiyobosho.pdf
スタートが遅れていたインフルエンザの流行が拡大しています。改めて、副作用情報をどの程度まで、どうやって伝えるかが今問われています。
関連情報:TOPICS 2006.11.14 タミフルに異常行動の注意喚起の記載を求める(米国)
参考:中日新聞2月23日
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070223/mng_____sya_____006.shtml
朝日新聞2月22日
http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY200702220281.html
毎日新聞2月24日
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/archive/news/2007/02/20070224ddm012040143000c.html
2月27日22時50分更新