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2007.08.03 イエローカード副作用報告システムの現況(英国)
1日、英国MHRA(医薬品医療用製品規制庁)とCHM(The Commission on Human Medicines:医薬品の有効性と安全性などを検討する専門家による委員会)は、“Drug Safety Update”の第1号を公表しました。
Drug Safety Update: Volume 1, Issue 1, August 2007(MHRA 2007.8.1)
これは、今まで発行されてきた“Current Problems in Pharmacovigilance”に代わるもので、MHRAが行ってきた副作用の注意喚起などの情報や最近の話題などが掲載されています。今後毎月発行されるようです。おそらく厚労省も、「海外規制機関 医薬品安全性情報」でこの記事を取り上げるのではないかと思います。
第1号では、英国独自の副作用報告システムであるイエローカード副作用報告システム(Yellow Card Scheme)の現況が取り上げられています。このYellow Card Schemeは、もともとは医療専門家のためのものでしたが、2005年1月からは対象を患者などにも広げられています。また2002年からはオンラインでの報告が可能になっており、患者も薬の副作用が疑われる体験をオンラインで直接MHRAに報告することが可能になっています。
Reporting suspected adverse drug reactions(MHRA Web Site)
Yellow Card Scheme(MHRA Web Site)
記事によれば、今年1月から5月までに寄せられた報告件数は6,586件で、うち64%が重篤なものに分類されるとしています。報告者の内訳はGPの1699件(26%)に続き、患者が875件(13%)を占めるなど、患者本人などからも多く報告されているとしています。また、薬剤師からの報告は808件(うち病院薬剤師が549件)に留まる一方で、看護師からの報告が633件、その他医療専門職が1699件など、さまざまな立場から、多くの報告があることが伺えます。
改めて、日本でもこのYellow Card Schemeのような、もっと簡単に誰でも副作用報告ができるシステムを導入できないかと考えます。
この記事の日本語訳は、海外規制機関 医薬品安全性情報Vol.5 No.20に掲載されています。
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly5/20071004.pdf
また、イエローカード副作用報告システムに関する記事は、“Drug Safety Update”の第2号、第3号にも掲載されています。
なお、このDrug Safety Update第1号では、TOPICSでも取り上げたカベルゴリンによる心臓弁膜症、ドパミンアゴニストによる病的賭博などの記事が掲載されています。
関連情報:TOPICS 2006.05.13 医療専門職のための副作用報告ガイド(英国)
2005.11.08 患者による副作用直接報告(英・イエローカード計画)
※Yellow Card Schemeの和訳を
「イエローカード計画」→「イエローカード副作用報告システム」に変更しました
10月10日リンク追加