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2007.08.12 高齢者に予防的治療は果たして必要か?(BMJ)

BBCなど取り上げているのはわずかですが、BMJ(British Medical Journal)の最新号に、英国とニュージーランドの医師が書いたAnalysisが気になったので紹介します。(今のところログインなしで全文が読めます)

Preventive health care in elderly people needs rethinking
 (BMJ 2007;335:285-287)
  http://www.bmj.com/cgi/content/extract/335/7614/285
  http://www.bmj.com/cgi/content/full/335/7614/285   

内容は、2002年にLANCETで発表された高齢者を対象としたプラバスタチンのstudy(平均75歳の高齢者を対象、心臓病によるリスク減少が示された一方、がんによる死亡、がんと診断されるリスクが増加)を取り上げ、高齢者(特に平均寿命を超えた人)に予防的な薬物治療をしても、死因が変わるだけに過ぎず、果たして意味があるのかというものです。

Shepherd J, Blauw GJ, Murphy MB, Bollen EL, Buckley BM, Cobbe SM, et al.
Pravastatin in elderly individuals at risk of vascular disease (PROSPER): a randomised controlled trial.[PMID:12457784 Lancet 2002;360:1623-30.]
     http://image.thelancet.com/extras/02art8325web.pdf

著者らは、高齢者を対象としたエビデンスが不十分な場合が多いと指摘したうえで、「インフォームド・コンセントなしに、本人が知らずに他の死亡原因を選択させているかもしれない。これは、非倫理的であり、個人の尊厳を侵害するものである。」として、予防的治療よりも、白内障や関節置換の手術、認知症のケアに費用を回すべきであるとしてます。

医療はどうあるべきか、そして国は医療費をどう配分するかなど、倫理的・政治的な課題にはなりますが、高齢者は一般的に、生理機能の低下、薬物の代謝機能の低下など多くのリスクが伴うことも事実です。

私たちも、高齢の患者さんやその家族に「この薬を飲むべきですか」と尋ねられることが少なくないと思います。そのときに、どう答えたらよいか、そして私たち薬剤師は高齢者の薬物治療にどうかかわるかなど、我々にも考えさせられる問題提起です。皆さんはどう考えますか?

関連情報:TOPICS 2007.07.25 低LDL-Cとがんリスク

参考:Prevention 'may not help elderly'(BBC NEWS 2007.8.9)
       http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/6939041.stm

8月12日 12:30掲載

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