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2008.06.20　認知症患者に抗精神病薬は使用すべきではない

英国保健省は19日、認知症（dementia）患者に抗精神病薬を使用しないことを求めるなどが盛り込まれた、Transforming the Quality of Dementia Careと題する認知症対策案を発表し、一般からの意見募集を開始しました。

Transforming the quality of dementia care: consultation on a National Dementia Strategy（英国保健省2008.6.19）　　　

認知症患者への抗精神病薬の投与は、これまでも死亡リスクが高まるとして、近年投与には慎重に行うよう求めれられていますが、この計画（47-48p）では認知症患者の精神症状に対して抗精神病薬を投与することは、マイナスの影響があり、再検討も行われていないとして、投与を避け、直ちにこれらの薬剤の効果についての再検討及び、非薬物療法による対応が必要としています。

Guardian紙によれば、nursing homes の60％の患者がリスパダールなどの抗精神病薬が処方されていると指摘し、またTelegraph紙は「抗精神病薬が養護施設（Care Homes）を中心に、認知症患者を落ち着かせるために、不適切に多く使用されている。これは高齢者への虐待にも価する」との専門家の意見を掲載するなど、現在も精神症状を抑えるためにかなりの処方が行われていることを示しています。

なお米国でも適応外であるにもかかわらず多く使用されていることもあり、既に非定型抗精神病薬について死亡リスクについての黒枠警告が行われていますが、最近の論文を踏まえて従来タイプの抗精神病薬についても同様の黒枠警告を求めることがつい先日発表されています。

FDA Requests Boxed Warnings on Older Class of Antipsychotic Drugs
　　　（FDA NEWS 2008.6.16)
　　http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01851.html

Information for Healthcare Professionals Antipsychotics（FDA）
　　http://www.fda.gov/cder/drug/InfoSheets/HCP/antipsychotics_conventional.htm

関連情報：
Antipsychotic drug use and mortality in older adults with dementia.
　　　　　　 （Ann Intern Med. 2007;146:775-786、PDFはfulltextです)
　　http://www.annals.org/cgi/content/abstract/146/11/775
Risk of death associated with the use of conventional versus atypical antipsychotic drugs among elderly patients.(CMAJ. 2007;176:627-632.)
　　http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/176/5/627

TOPICS 2006.10.15　認知症と非定型抗精神病薬　　

参考：Review ordered for dementia drugs（Guardian.co.uk,2008.6.19）
　　　　　http://www.guardian.co.uk/society/2008/jun/19/health.health
Dementia drug use to be reviewed（BBC NEWS 2008.6.19）
　　　　　　http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7461400.stm
　Doctors giving anti-psychotics to dementia sufferers 'should be prosecuted'
　　　　（Telegraph 2008.6.19）