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2007.02.21 米国心臓病協会が、女性向け心臓病予防指針をまとめる
米国心臓病協会(AHA:American Heart Association)は19日、女性の心臓病予防についてのガイドライン(GL)を公表しています。
Updated guidelines advise focusing on women's lifetime heart risk
- Update gives definitive answers on HRT, aspirin, supplements
(AHA Journal Report 2007.2.19)
http://www.americanheart.org/presenter.jhtml?identifier=3045524
Evidence-Based Guidelines for Cardiovascular Disease Prevention in Women:
2007 Update(Circulation,2007;115:)
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/CIRCULATIONAHA.107.181546v1
今回のGLは、2004年に公表されたものを最近の知見に基づいて更新したもので、心臓病の予防のために下記のような点を留意するよう求めています。
- たばこを吸わない、間接喫煙もさける。禁煙を実行するために、ニコチン置換製品などを利用する。
- 毎日早歩きなど30分程度の運動を心がける。減量が必要なら、毎日60〜90分の運動が必要。
- 果物や野菜、穀物、高繊維質の食物を積極的に摂る。また、少なくとも週に2回は魚(特にオイリーな魚)を摂る。飽和脂肪酸の接収は、総カロリーの10%以下(可能であれば7%以下)に制限する。
- アルコールは1日1杯以下に制限する。
- BMIが18.5以上25未満になるように体重をコントロールし、ウエストを35インチ以下になるようにする。
- もしすでに心臓病にかかっているなら、オメガ-3脂肪酸を850mg〜1000mg(高TGの場合は2〜4gの高用量)のDHA、EPAのサプリメントで摂取することを考慮に入れてもよい。
- ビタミンE、ビタミンC、βカロチンなどの抗酸化サプリメントは、心臓病の1次、2次予防として使われるべきではない。
- ビタミンB6、B12の補充の有無にかかわらず、葉酸は心臓病の1次、2次予防として使われるべきではない。(但し、妊婦では推奨)
- 食事・運動など、ライフスタイルの改善で血圧は120/80以下になるよう心がける。
- 血圧が140/90以上(腎臓病や糖尿病がある場合は130/80以上)で薬物療法を考慮する。薬剤はチアジド系利尿剤を柱に、ハイリスク例ではβブロッカー、ACE阻害剤、ARBなどと併用し、血圧を目標値まで下げる。
- ライフスタイルの改善で、LDL-C<100、HDL-C>50、TG<150になるよう心がける。
- ハイリスクグループでは、LDL-C<100(よりハイリスクなグループではLDL-C<70)となるよう、薬物療法を考慮する。
- ハイリスクグルプでは、1日75〜325mgのアスピリン療法が望まれる。認容できない場合はクロピドグレルで代用する。
- 65歳以上女性はリスクの有無にかかわらず、アスピリンを毎日81mg、または隔日で100mgを服用することを考慮に入れるべきであるが、健康な65歳未満の女性については、心臓病のリスクより出血のリスクが大きいのでアスピリンの定期服用は推奨できない。
- ホルモン補充療法や、選択的エストロゲン受容体作用薬のタモキシフェン、ラロキシフェンは心臓病の1次、2次予防として使われるべきではない。
このGLでは魚の積極摂取など、日本での研究も引用されています。人種差・生活習慣の違いから、今回の勧告がそのまま日本人に当てはまるとは言えませんが、エビデンスに基づいたGLとして知っておいてもよいかもしれません。
関連情報:TOPICS 2006.01.17 心臓病予防に魚は有用(厚労省研究班)
参考:Most U.S. women face heart, stroke risk
Group issues new preventive guidelines, including daily aspirin use
(MSNBC 2007.2.19 AP通信配信)
http://www.msnbc.msn.com/id/17231469/
2月21日0時15分掲載 12時30分更新