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2006.01.31 ネット医薬品販売業者が、ネット通販での服薬説明機能を導入
2006.01.31 「患者向医薬品ガイド」の運用が開始(2/23更新)
2006.01.31 副作用の全件報告の公表が開始
2006.01.28 吸入タイプのインスリン「エクスベラ」が米国・欧州で承認
2006.01.27 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.2
2006.01.27 医薬品・医療用具等安全性情報221号
2006.01.24 肥満症治療薬「ゼニカル」がOTCとして販売へ(米国)(1/27更新)
2006.01.19 ネット薬局の会、医薬品のネット販売に関する要望書を提出
2006.01.19 処方せんの新様式が4月から全面採用へ
2006.01.18 厚労省、平成18年度診療報酬改定についての意見募集を開始
2006.01.18 近年の食生活が脳に影響を及ぼす(英国レポート)
2006.01.17 心臓病予防に魚は有用(厚労省研究班)
2006.01.16 くすりの授業用スライド
2006.01.15 アステラス、大衆薬部門から完全撤退へ
2006.01.15 後発薬促進策は大きく後退か
2006.01.15 タミフルとインフルエンザに関する意識調査(WEBアンケート)
2006.01.12 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.1
2006.01.12 オカモト、避妊ゼリー付きコンドームを発売へ
2006.01.12 厚労省、[FAX調剤/調剤薬の配達]を容認へ
2006.01.11 OTC咳止め薬は、本当に有用か?(米国)(1/12更新)
2006.01.08 心臓病患者にL-アルギニンは安全か?(7/14更新)
2006.01.05 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.25
2006.01.05 受精能検査キットがOTCとして発売へ(英国)
2006.01.05 エピネフリンからアドレナリンへ
2006.01.01 ニコチン代替療法は未成年・妊婦・授乳婦にも有用(英国)(1/12更新)
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2006.01.31 ネット医薬品販売業者が、ネット通販での服薬説明機能を導入
インターネットでの医薬品販売を行っているケンコーコム(株)(http://www.kenko.com/)は31日、同社通販サイトに、医薬品の販売時にWeb上でカウンセリングを行う“インターネットによる服薬説明機能”を導入したと発表した。
ケンコーコム、「インターネットによる服薬説明機能」を発表
〜インターネットでの医薬品購入時に、積極的な情報提供を実現〜
(ケンコーコム社プレースリリース1月31日)
http://www.kenko.com/company/pr/archives/2006/01/post.html
この服薬説明機能は、同社通販サイトで右上にある「商品を購入する」をクリックすると、まずアレルギーや既往症の有無、年齢制限などの質問にチェック形式で答えるページにリンクされ、答えに応じて、購入にあたっての注意事項が示されるというもので、服用禁止に該当する項目にチェックが入った場合はその医薬品は購入できないような仕組みになっている。
ASCII24の記事によれば、同社が通販サイトで扱う医薬品のうち、風邪薬や便秘薬、痛み止めや妊娠検査薬など834種類がこの機能に対応していて、さらに2006年末をめどに、同社で販売されるすべて(31日現在で2081種類)が対応するという。また今後は、「TV電話による購入者と同社専属薬剤師による対話」「回答履歴のデータベース化」「購入者個人に合わせた服薬喚起メール」も検討、さらにこの機能を他の薬局・薬店に対してOEM提供することも予定しているという。
WEBニュースでは、現在の医薬品販売は情報提供の理念に従って正しく実践されていないとして、むしろこの服薬説明機能は「購入時に必ず服薬説明が行われることを保証できる」「服薬説明は必ず薬剤師が行うことを保証できる」「説明はメールでも送信するため、保管・検索性に優れる」というメリットもあるとするケンコーコム(株)社長の談話を伝え、今回の取組みを好意的に伝えている。
関連情報:TOPICS
2006.01.19 ネット薬局の会、医薬品のネット販売に関する要望書を提出
参考:ASCII24 1月31日
http://biz.ascii24.com/biz/news/article/2006/01/31/660279-000.html
ITmediaニュース 1月31日
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0601/31/news030.html
INTERNET watch 1月31日
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/01/31/10695.html
2006.01.31 「患者向医薬品ガイド」の運用が開始
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(http://www.info.pmda.go.jp/)は31日、各製薬企業が作成し、厚生労働省及び総合機構がその内容を確認した「患者向医薬品ガイド」の提供をホームページで開始しました。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構による
製薬企業からの副作用報告及び患者向医薬品ガイドの公表について
(厚労省発表1月31日)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/01/h0131-3.html
この「患者向医薬品ガイド」は、患者やその家族などが、医療用医薬品についての正しい理解と、重大な副作用の早期発見などに役立つように添付文書を基に作成されたもので、医薬品を使用するときに特に知っていもらいたいことなどが、わかりやすく記載されています。私たちが日頃患者さんに提供する薬剤情報の作成にも大いに参考になります。
患者向医薬品ガイド一覧(独立行政法人医薬品医療機器総合機構HP内
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/whatsnew/guideCompanylist/companyframe.html
今回はまず、経口糖尿病用剤が掲載(PDFファイル)され、今後、抗リウマチ薬、喘息治療薬等も下記のスケジュールで作成され、順次掲載される予定です。
作成する 医薬品の特定 (目途) |
原案の作成 (目途) |
公表 (目途) |
|
---|---|---|---|
糖尿病用剤(注射剤を除く) | 平成17年11月28日 | 平成17年12月23日 | 平成18年1月31日 |
抗リウマチ薬(注射剤を除く) 血液凝固阻止剤及び抗血小板剤 (注射剤を除く) 喘息治療薬(注射剤を除く) |
平成17年12月16日 | 平成18年2月13日 | 平成18年3月 |
薬効別分類100及び200番台 (注射剤を除く) |
平成18年2月まで | 平成18年5月まで | 平成18年7月 |
薬効別分類300及び400番台 (注射剤を除く) |
平成18年5月まで | 平成18年8月まで | 平成18年10月 |
薬効別分類500,600,700及び800番台 (注射剤を除く) |
平成18年8月まで | 平成18年11月まで | 平成19年1月 |
注射剤 | 平成18年11月まで | 平成19年1月まで | 平成19年3月 |
今回のガイド作成の経緯や目的、対象などの詳しくは、医薬品・医療機器等安全性情報222号の情報をご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0223-2.html#gai1
関連情報:TOPICS 2005.11.09 2006年1月より、「患者向け医薬品ガイド」が運用開始
2006.01.31 副作用の全件報告の公表が開始
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(http://www.info.pmda.go.jp/)は31日、製薬企業から報告があった全ての副作用の公表をホームページで開始しました。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構による
製薬企業からの副作用報告及び患者向医薬品ガイドの公表について
(厚労省発表1月31日)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/01/h0131-3.html
今回掲載されたのは、2004年4月の1ヶ月分についてで、因果関係が否定できない死亡63例(37医薬品。内訳はイレッサでの間質性肺炎12例、タキソテールでの間質性肺炎など5例、リウマトレックスでの間質性肺炎など4症例などで、63例中31例が抗がん剤)、また情報不足などで因果関係が評価できない死亡68例や因果関係が認められない死亡が39例なども含む、732医薬品の2477症例についてで、2004年5月以降のものについても、今後順次公表される予定です。
掲載情報は、症例情報(報告年度、性別、年齢(年代)、原疾患等、被疑薬、投与経路、有害事象、併用被疑薬、転帰)と報告副作用一覧(報告年度ごとの副作用名別の件数)の2つで、一般名による検索が可能です。
副作用が疑われる症例報告に関する情報(独立行政法人医薬品医療機器総合機構HP内
http://www.info.pmda.go.jp/fukusayou/menu_fukusayou_attention.html
関連情報:TOPICS 2005.11.19 来年1月から、医薬品の副作用情報の全件が公表
参考:東京新聞1月31日
読売新聞1月31日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060131ik08.htm
2005.01.28 吸入タイプのインスリン「エクスベラ」が米国・欧州で承認
FDAは、昨年9月の内分泌・代謝性医薬品諮問委員会(Endocrinological and Metabolic
Drugs Advisory Committee)での票決を受け、27日、吸入タイプのインスリン「エクスベラ(Exubera)」(遺伝子組み換え技術で製造されたヒトインスリンの粉末で、眼鏡ケース大の専用吸入器を使って口から吸入)の販売を認可すると発表しました。
FDA Approves First Ever Inhaled Insulin Combination Product for Treatment of Diabetes
http://www.fda.gov/bbs/topics/news/2006/NEW01304.html
Pfizer Receives FDA Approval for Exubera, the First Inhalable Form of
Insulin for Controlling Type 1 and Type 2 Diabetes in Adults
(ファイザー社プレスリリース)
http://www.pfizer.com/pfizer/are/news_releases/2006pr/mn_2006_0127a.jsp
また欧州でも「エクスベラ」は26日に認可され、英国や米国では今年半ばまでには販売が始まる見通しと報じられています。
FDAなどによれば、「エクスベラ」は速効型インスリン注射の代わりになるとしていますが、1型タイプでインスリン基礎分泌の補充が必要な場合や2型タイプには、中間型や持効型インスリン注射の併用や内服剤の併用も必要としてます。
また、咳や息切れ、のどの痛み、口の乾きなどの副作用があることを指摘、また、喫煙者・禁煙をしてから6ヶ月以内の人、喘息・気管支炎・肺気腫の人には使用しないこと、半年から1年に1回は、肺機能の検査を行うよう求めています。
ワシントンポスト紙によれば、価格は現在のところ未定で、従来型のインスリンよりも高価になるだろうとして、今後(私的)保険の対象となるかどうか疑問視しています。
関連情報:TOPICS
2005.09.12 FDAの諮問委員会が吸入タイプのインスリン承認を支持
参考:読売新聞1月28日
東京新聞1月28日
Diabetes inhaler given approval(BBC NEWS 2006.1.27)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4653676.stm
FDA Approves Inhalable Insulin(Washingtonpost 2006.1.27)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/01/27/AR2006012701085_2.html
2005.01.27 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.2
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、1月26日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.2を公表しました。
オセルタミビル(タミフル)、抗TNFalfa製品・エンブレル(エタネルセプト)、インフリマキシブ(レミケード)などの情報が掲載されています。
全文はこちら(PDF)です。
2006.01.27 医薬品・医療用具等安全性情報221号
厚労省は1月26日、医薬品・医療用具等安全性情報221号を公表しました。「小児気管支喘息におけるテオフィリン等の適正使用について」などの情報が掲載されています。詳しくはこちらです。
2006.01.24 肥満症治療薬「ゼニカル」がOTCとして販売へ(米国)
23日、FDAの専門諮問委員会(Nonprescription Drugs and Endocrinologic &
Metabolic Drugs advisory committees)が行われ、膵リパーゼ阻害剤の肥満症治療薬「ゼニカル(xenical
一般名:orlistat)」をOTCとして認可を求める票決を行いました。早ければこの夏にも、60rカプセル(処方薬は120rカプセル、副作用に配慮)がOTCとして発売される見通しです。
Glaxo's Orlistat Favored For OTC Weight-Loss Use By FDA Joint Panel
(FDA Advisory Committee 2006.1.24)
FDA Joint Advisory Committee recommends approval of orlistat 60 MG capsules
for over-the-counter use
(GSK 2006.1.23)
このゼニカルは、膵リパーゼの活性を阻害することにより、中性脂肪やコレステロールの腸管からの吸収を抑制、食事中の脂質を糞便中に排出することで抗肥満作用を示すとされ、米国では1999年より、ロシュ社が処方せん薬として発売、アボット社のメリディア(Meridia 一般名:sibutramine)とともに広く使われています。(GSK社によれば、世界でも145カ国2200万以上の人が使用)
しかし、近年医師による処方が260万処方(2000年)から100万処方(2004年)に減少したことから、OTC化による市場拡大の必要がでてきたようです。そこで2004年7月にはグラクソスミスクライン(GSK)社が、ロシュ社よりOTC薬の販売権を取得、2005年6月にFDAにスイッチ品の承認を申請していました。
GSK社では、ゼニカルの18歳未満への販売方法についての考慮(年齢の確認)するとともに、FDAも販売後も十分モニーターするように勧告していますが、腹痛や脂肪便などの副作用や、シクロスポリンやワルファリン、アミオダロン、脂溶性ビタミンとの相互作用も知られていることから、今回のスイッチ化については消費者団体等からは懸念の声が挙がっています。また、米国におけるOTC薬の販売状況を考えると、濫用の危険性が考えられます。
一方、ニュージーランドではこのゼニカルは、要薬剤師薬(pharmacist only medicine)に指定され、既にOTCとして販売されています。ニュージーランドのロシュ社のプレスリリースによれば、薬科大学はこのスイッチ化を歓迎し、指定の変更に伴って、
weight-management training courseを完了した900人の薬剤師を送り出すと表明、また薬剤師もこの決定を大いに歓迎し、効果的な
weight management counsellingと、減量に取り組む人たちによい結果をもらすようためのトレーニングプログラムをつくり、多くがそれを完了したと伝えています。
なお発売元のニュージーランドのロシュ社は、専用のHPを設けて情報を提供しています。
Xenical(Home Page) http://www.xenical.co.nz/
ネットなどをみるとこのゼニカルは、日本でも個人輸入の形で使用されるなど、かなり知られているようです。OTC化となれば、今後はさまざまな形で今まで以上に日本にも流入する可能性があり、私たちも関心を持つ必要があるでしょう。日本では中外製薬が去年まで、治験薬名「R212」で開発をすすめていましたが、臨床第V層試験の困難さから開発を断念、2005年4月4日のプレスリリースで開発中止を発表しています。日本での発売は現時点では未定です。
資料:Xenical (consumer Medicine Information)
http://www.medsafe.govt.nz/consumers/cmi/x/Xenical.htm
PDR Drug information for Xenical Capsules(Drugs.com)
http://www.drugs.com/pdr/Xenical_Capsules.html
参考:FDA panel okays Glaxo's OTC weight loss drug Alli
(Foodconsumer org. 2006.1.24)
http://www.foodconsumer.org/777/8/
FDA_panel_okays_Glaxo_s_OTC_weight_loss_diet_pill_Alli.shtml
FDA finds risk in GlaxoSmithKline PLC's Xenical diet pil
(Foodconsumer org. 2006.1.22)
http://www.foodconsumer.org/777/8/
FDA_finds_risk_in_GlaxoSmithKline_PLC_s_Xenical_diet_pill.shtml
A Diet Pill With Some Nasty Drawbacks(Washigntonpost 2006.1.23)
http://www.washingtonpost.com/
wp-dyn/content/article/2006/01/23/AR2006012301270.html
Xenical available from pharmacists(Scoop 2005.3.11)
(ニュージーランドロシュ社のプレスリリース)
http://www.scoop.co.nz/stories/GE0503/S00049.htm
上野浩晶、中里雅光:肥満症治療薬, 日本薬剤師会雑誌(57),1185-1189(2005)
2006.01.19 ネット薬局の会、医薬品のネット販売に関する要望書を提出
ネット販売大手の、ケンコーコム(株)など、インターネットを利用して医薬品の販売を行っている薬局・薬店14社が集まって結成された団体の『インターネット通販のあり方を考える薬局・薬店の会(略称:ネット薬局の会)』は19日、「ネット販売は対面販売に準ずるものであり、むしろ積極的に容認すべきものである」として、薬事法改正後も従来通りのネット販売が行えるよう、『薬局・薬店による医薬品のネット販売に関する要望書』を厚労省に提出した。
ケンコーコム(株)プレスリリース
http://www.kenko.com/company/pr/archives/2006/01/lbguiclbgvvjob_1.html
健康とECのBLOG
http://www.kenko.com/blog/genri/2006_01_01_genrigoto_archive.html
(『薬局・薬店による医薬品のネット販売に関する要望書』が掲載)
ネット薬局の会によれば、「医薬品販売制度改正検討部会の審議は、インターネット技術ならびにその活用事例に精通した人が不在で行われており、消費者へのパブリックコメントを求めたり事業者へのヒアリングも行われていないまま法律が改正されようとしている」と批判し、また検討部会の報告書についても、「安全性・利便性の面における判断基準に偏りがある」「生活インフラのひとつとして社会に浸透しているインターネットに関する配慮が欠けている」「既存利用者の利便性ならびにその利用状況の実態を把握しておらず生活者の視点に欠ける」などの問題点があると指摘している。
今後、検討部会で示された報告書に沿って薬事法の改正が行われると、現在は可能となっている漢方薬、便秘薬、水虫薬、検査薬などのネット販売が一切できるなくなることから、ネット薬局の会では、厚生労働省ならびに政府等関係各機関において、インターネット等の情報通信技術の発展・普及を踏まえ、薬局・薬店による医薬品のネット販売を容認するよう検討することを求めている。
共同通信などによれば、ケンコーコムでは1カ月に約1万7000個の医薬品を販売し、総売り上げの約6%を占め、また、大手ドラッグストアの進出で活路を見いだそうと地方の薬局など100社以上がインターネットによる販売を行い、売上規模は数10億円に達しているのではないかという。また、この要望については、オールアバウト、ヤフー、サイバーエージェントなど20社のインターネット関連企業が支持を表明している。
参考:共同通信1月16日
ASCII24 1月19日
http://ascii24.com/news/i/topi/article/2006/01/19/660067-000.html
CNET JAPAN 1月19日
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20094800,00.htm
2006.01.19 処方せんの新様式が4月から全面採用へ
中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会は18日、厚労省の後発医薬品使用促進案を修正し、処方せん様式を4月から全面更改する方針を決めた。
処方せん様式の変更については、新様式と現行方式との選択制を盛り込まれるとの一部報道があったが、18日の委員会で、支払い側委員から「後発品普及につながらない」「医師に後発医薬品を使わせるには、既存の様式を残すべきではない」といった批判が続出したことから、処方せん様式変更に反対していた診療側(日医)の委員も了承、4月よりチェック欄のついた新様式の導入をすることが決まった。
今後は、後発医薬品(ジェネリック薬)に関する情報の収集と、各薬局での適切な在庫が求められることとなる。
関連情報:TOPICS 2006.1.15 後発薬促進策は大きく後退か
参考:毎日新聞1月18日
読売新聞1月19日
2006.01.18 厚労省、平成18年度診療報酬改定についての意見募集を開始
厚労省の中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会は18日、「平成18年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」を取りまとめました。厚労省では、診療報酬の改定案について、医療の現場や患者など国民の意見を踏まえて、幅広く議論を進めたいとして、「現時点の骨子」を公表するとともに、この骨子に対する意見の募集を開始しました。(締め切りは1月27日)
平成18年度診療報酬改定に関する意見募集について(厚労省2006.1.18)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/01/s0118-6.html
今回の意見募集は、医療制度改革の一環として行われるものですが、私たちの仕事について厳しい意見が寄せられる可能性がある反面、私たちの仕事に対する報酬に関する意見や要望を直接出すことができる唯一の機会でもありますので、興味ある方は上記ページにアクセスしてみて下さい。
関連情報:TOPICS 2005.7.16 調剤報酬改定に、国民の声を反映へ
2006.01.18 近年の食生活が脳に影響を及ぼす(英国レポート)
最近、「うつにならない食生活」「きれる子どもたちの食」など、日常の食生活と脳が関係する健康問題と関連を記した本をよくみかけますが、英国ではこれを裏付けるような2つのレポート(後者は、食品に関する運動を行っているグループSustainとの共同レポート)が、英国メンタルヘルス財団(The Mental Health Foundation)から発表され、注目されています。
Feeding Minds - the impact of food on mental health
Summary(3MB、16ページ)
http://www.mentalhealth.org.uk/html/content/feedingminds_exec_summary.pdf
Full Report(5.55MB、72ページ)
http://www.mentalhealth.org.uk/html/content/feedingminds_report.pdf
Changing Diets, Changing Minds:
how food affects mental well being and behaviour(825KB、128ページ)
http://www.mentalhealth.org.uk/html/content/changing_minds.pdf
レポートは、多くの文献等を検討してまとめられたもので、近年のバランスのとれていない食生活がうつ症、統合失調症、注意欠陥多動性障害(ADHD)やアルツハイマーなどの増加を招いていると示唆し、食生活の見直しや食や農業に関する政策の検討を求めています。
私たちの身の回りには、農薬などを利用した大量生産の農作物、添加物が含まれる加工食品、ハンバーガーに代表されるファストフード、ポテトチップなどのスナック菓子類など、ひと昔前には考えられなかったような食べ物が満ち溢れていますが、レポートはこれらを利用する私たちに警鐘を鳴らしたものといえます。
食生活というと、生活習慣病や肥満、がんなどとの関連ばかりが言われていますが、今後はメンタルヘルスについても、関連性を十分検討する必要がありそうです。
参考:New reports link mental ill-health to changing diets(2006.1.16)
http://www.sustainweb.org/pdf/16_01_06.pdf
Food and Mental Health Campaign(The Mental Health Foundation)
http://www.mentalhealth.org.uk/page.cfm?pagecode=PRFM
Major new Report from the Food and Mental Health Project(SUSTAIN NEWS)
http://www.sustainweb.org/news_detail.asp?iEve=135&iType=1082
Mental health link to diet change(BBC NEWS 2006.1.16)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4610070.stm
ニッポン消費者新聞(2006.1.17)
http://www.jc-press.com/kaigai/200601/011703.htm
2006.01.17 心臓病予防に魚は有用(厚労省研究班)
厚労省の研究班は、魚と、魚に豊富な成分で血管を詰まらせ難くする効果があるEPAとDHA(n-3脂肪酸)の摂取量が、虚血性心疾患のリスクとどのような関連があるかについての大規模調査を行い、このほどその結果を発表しました。(米国 Ciraculation誌にも掲載)
魚、n-3脂肪酸と虚血性心疾患発症の関係(JPHC リサーチ・ニュース 2006.1.16)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news018.html
Intake of Fish and n3 Fatty Acids and Risk of Coronary Heart Disease Among Japanese: The Japan Public Health Center-Based (JPHC) Study Cohort I
(Circulation. 2006;113:195)
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/113/2/195
この調査は、岩手、秋田、長野、沖縄県内に住む40〜59歳の男女約4万人を対象に、1990年から約11年間追跡調査したもので、魚の摂取量に応じて5グループに分けて比較しています。
結果によれば、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患になるリスクは、魚を食べる量が最も少ない人たち(1日20g程度、週1回の摂取量に相当)に比べて、最も多い人たち(1日180g程度、週8回の摂取量に相当)は37%低いとする結果得られたそうです。
研究班では、魚による虚血性心疾患予防効果は週1〜2回程度でも期待できるが、それ以上に食べるとさらに高くなるとしながらも、EPAやDHAなど、サプリメントの摂取による予防効果は検討はされていないとし、また妊婦については、水銀含有量が高い魚介類を偏って多量に食べ過ぎないようにという注意事項が厚生労働省から出されているとして、魚食によるメリットとリスクのバランスを検討するようにとするコメントを発表しています。
関連情報:TOPICS 2005.11.03 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項がまとまる
参考:朝日新聞1月17日
読売新聞1月17日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060117ik08.htm
2006.01.16 くすりの授業用スライド
紹介が遅れてしまいましたが、くすりの適正使用協議会はこのほど、児童がくすりの本質を理解し、くすりを正しく用いることができるよう、約3時限分の授業内容に相当する「くすり教育用資材(パワーポイント・ライブラリー、約120枚・パワーポイントスライド)」を完成させ、ホームページで公開をしています。
くすりの適正使用協議会では、全国の学校薬剤師が「くすりの授業」が設営し、教材のひとつとしてこのスライドの活用することを期待しています。
「児童向けくすりの授業」PPスライド公開(News Release 2005.12.15)
http://www.rad-ar.or.jp/03/05_release/NR5-10.051215.pdf
「児童向けくすりの授業」PPスライドのご案内(2005.12.9)
http://www.rad-are.com/slide/index.html
このスライドは、学校などの教育機関において教育目的での利用に限り、無償で利用することができ、また複製・供与・加工したりすることも可能です。ダウンロードには会員登録が必要ですが、下記ページで、スライドの閲覧は可能です。
くすりの授業用スライド集(閲覧ページ)
http://www.rad-are.com/jyugyo/matrix.html
関連情報:
TOPICS 2005.09.20 くすりの適正使用協議会の「児童向けくすり教育への取り組み」
2006.01.15 アステラス、大衆薬部門から完全撤退へ
15日の読売新聞によれば、アステラス製薬は医療用医薬品部門に事業を集中したいとして、子会社のゼファーマを売却する方向で検討中であると伝えています。
ゼファーマは、「ガスター10」「マキロン」「プレコール」「オイラックス」「カコナール」などが有名な、藤沢と山之内の合併に先立って2004年10月に設立されたアステラス製薬の大衆薬部門ですが、今後証券会社が仲介して、競争入札方式で売却先が決められるとのことです。
大衆薬の売上は、毎年減少しており、昨年も中外製薬が大衆薬部門をライオンに売却するなど、再編がすすんでいます。再編するのは結構なことですが、新しいスイッチOTCの開発などに影響がないか気がかりです。
参考:読売新聞1月15日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060115ik09.htm
2006.01.15 後発薬促進策は大きく後退か
11日、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会で、厚労省は次回の診療報酬改定を諮問し、その中で「後発医薬品の使用促進のための環境整備を図る観点から、先発医薬品の銘柄名を記載した処方せんを交付した医師が、後発医薬品に変更して差し支えない旨の意思表示を行いやすくするため、処方せんの様式例を追加する方向で検討」とするこれまでの論点整理案が提示されています。
第79回中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会(2006年1月11日開催)
資料(WAM NET1月12日掲載)
これにより4月から「後発品も使用可」というチェック欄が新設、新薬を処方した医師がこのチェック欄に印をつけていれば、薬剤師が後発品を選べるという、処方せん様式の変更の可能性がでてきたことを、皆さんもご存知ではないかと思います。
ところが、15日の日本経済新聞・毎日新聞によれば、11日での議論を踏まえて現在まとめられている最終案に、「従来の処方せんの様式か、新様式のどちらかを採用すればいい」とする現行方式との選択制を盛り込む案が急浮上してきたとのことです。これは、「全ての処方せんを新様式にすると、医師に後発薬を事実上強制する可能性がある」という日医の主張に配慮したものとされ、「これでは後発薬が普及しない」と健康保険組合などは猛反発していると報じています。
関連情報:TOPICS 2005.10.21 処方せん様式見直し、結論は持ち越しに
参考:日本経済新聞1月15日
毎日新聞1月15日
2006.01.15 タミフルとインフルエンザに関する意識調査(WEBアンケート)
インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチの「DIMSDRIVE(http://www.dims.ne.jp/)」は、このほど「インフルエンザ」に関するアンケートを行い、その結果をWEB上に公開しています。
ネットリサーチのDIMSDRIVE 「インフルエンザ」に関するアンケート
http://www.dims.ne.jp/timelyresearch/enq/060113/
調査では、タミフルの副作用事例と昨年11月に報道された副作用報道を紹介したうえで、「もしインフルエンザにかかって『タミフル』を処方されたら飲みますか」と尋ねたところ、44.1%の人が“飲む”と回答したものの、20.8%の人が“飲まない”と回答しました。
またこれをタミフルの認知度ごとに調べたところ、タミフルが『どういうものか知っている』人の58.3%が“飲む”と回答、同様に『名前は聞いたことがある』人で34.0%、『知らない/聞いたことがない』人で19.4%と、タミフルについて詳しく知らない人ほど“飲む”と回答した人は少なかったという結果が得られています。
関連情報:TOPICS 2005.11.14 タミフル服用後の異常行動死は、副作用によるものか?
2005.01.12 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.1
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、1月12日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.1を公表しました。
ニコチン代替療法、パロキセチン(パキシル)などの情報が掲載されています。
全文はこちら(PDF)です。
2006.01.12 オカモト、避妊ゼリー付きコンドームを発売へ
オカモト株式会社は11日、避妊ゼリー付きコンドーム『epoca(エポカ)』を、2月1日より全国の薬局・薬店・ドラッグストア・コンビニエンスストアなどで販売を開始すると発表しました。
この『epaca』は、エーザイ社がネオサンプーンループ錠の商品名で発売している、避妊用膣薬の成分のメンフェゴールをゼリー状にしてコンドームに塗布しているという商品で、海外では既に同様のものがあるという。
オカモトでは、より確実な避妊効果が期待できる避妊具・避妊法コンドームとしてアピールしていくようですが、近年コンドームの売上は減少傾向にあり、売上増につながるかどうかは、むしろ増加している性感染症の予防へのアピールにかかっているのではないでしょうか?
参考:オカモト株式会社ニュースリリース(1月11日)
http://www.okamoto-inc.jp/news/2006011201.html
2005.01.12 厚労省、[FAX調剤/調剤薬の配達]を容認へ
12日の朝日新聞の記事によれば、厚労省は自宅で治療を受けている患者やその家族が薬局に出向かなくても薬を受け取れるように、制度を見直す方針を固めたと伝えている。
これが実現すれば、FAXに基づいてあらかじめ用意しておいた薬をもって、患者宅を訪問し、処方せんの原本を患者宅で確認後、薬を渡すことが可能となる。
また今回の見直しは、在宅医療に限らず認める方向で検討されており、一人暮らしで重い風邪をひいたり、家族全員がインフルエンザにかかったりした場合にも、医師による診察から薬の受け取りまで、外出せずに受けられるようになるという。
今回の方針の変更は、医療費抑制、患者のQOL向上、在宅医療促進の一環としての取り組みとされ、早ければ2006年度中にも実現する見通し。
参考:朝日新聞1月12日
2006.01.11 OTC咳止め薬は、本当に有用か?(米国)
胸部疾患を専門とする内科医・外科医などで構成される、The American College of Chest Physicians (米国胸部疾患学会議、ACCP)は9日、「咳治療に関するガイドライン」をまとめたと発表、「多くのOTC薬は咳治療のために勧められない」としたことから、国内外から大きな波紋を呼んでいます。
New Cough Guidelines Urge Adult Whooping Cough Vaccine,
Many OTC Medications Not Recommended for Cough Treatmen
(ACCP Press Release 2006.1.9)
http://www.chestnet.org/about/press/releases/2006/010906a.php
Diagnosis and Management of Cough Executive Summary
(ACCP Evidence-Based Clinical Practice Guidelines)
http://www.chestnet.org/downloads/journal/exec_sum.pdf
ガイドライン自体は現時点では見ることはできないので、各紙の報道を総合すると、以下の通りとなります。
- 多くのOTC咳止め薬に、実際に咳を和らげるというエビデンスがない(特にグアイフェンシン)
- 風邪(上気道炎)由来の咳に対しては、デキストロメトルファン・コデイン・グアイフェネシンは推奨しない
- クロルフェニラミンやジフェンヒドラミンなどの第一世代の抗ヒスタミン薬は、風邪由来の咳に対してはエビデンスがあり、プソイドエフェドリンのような充血緩和薬と共に使うことが望ましい
- 子どもへのOTC咳止め薬の使用は、有用ではなくむしろ有害である
- 咳の原因は風邪による場合だけではなく、副鼻腔炎による後鼻漏、逆流性食道炎、ぜんそく、たばこ、ACE阻害剤による副作用、百日咳などによる場合もあり、これらとの鑑別が必要
特に4.については、子どもへの咳止め薬の有用性が疑わしいとする研究(2004年7月)の他、安全性について問題を指摘する報告も少なくないことから、今後さらに子どもへのOTC咳止め薬の使用については、議論を呼ぶ可能性があります。
Effect of Dextromethorphan, Diphenhydramine, and Placebo on Nocturnal Cough
and Sleep Quality for Coughing Children and Their Parents
(PEDIATRICS Vol. 114 No. 1 July 2004, pp. e85-e90)
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/114/1/e85
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/114/1/e85
Toxicity of Over-the-Counter Cough and Cold Medications
(PEDIATRICS Vol. 108 No. 3 September 2001, p. e52)
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/108/3/e52
Use of Codeine- and Dextromethorphan-Containing Cough Remedies in Children
(Committee on Drugs:PEDIATRICS Vol. 99 No. 6 June 1997, pp. 918-920)
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/99/6/918
FDAでは「デキストロメトルファンなどは、安全で効果ある薬剤である」とコメントを発表、今回のACCPの発表に対しては困惑しているようです。確かにこれらの成分の有効性が疑わしいとする報告は少なくありませんが、米国内ではOTC薬は自由販売であり、おそらく自己判断で咳止め薬が使われたり、購入時に不適切な薬剤の選択が行われた可能性も否定できません。
日本では、総合感冒剤や咳止め薬の多くに、コデインやグアイフェネシン、デキストロメトルファンが含まれており、この勧告に照らせば、風邪薬としてこれらを販売することは不適となってしまうのでしょうか。
いずれにせよ私たちも、来局者からOTC咳止め薬を求められたときには、十分状況を聞いた上で、適切な薬剤の選択や、必要に応じた受診勧告が求められていることには間違いないでしょう。
参考:Most Over-the-Counter Cough Remedies Have No Value
(Medpage TODAY 2006.1.10)
http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/URItheFlu/tb/2454
ニッポン消費者新聞(2006.1.11)
http://www.jc-press.com/kaigai/200601/011102.htm
No evidence cough syrups work: panel
(ABC NEWS 2006.1.9 ロイター通信配信)
http://abcnews.go.com/US/wireStory?id=1488356
Doctors: OTC Cough Syrups Not Effective
(ABC NEWS 2006.1.9 AP通信配信)
http://abcnews.go.com/Health/wireStory?id=1488378
Cough medicines 'of little help'(BBC NEWS 2006.1.9)
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4598006.stm
Chest physicians offer new guidelines on treating cough
(Scripps Howard News Service 2006.1.10)
http://www.shns.com/shns/g_index2.cfm?action=detail&pk=COUGHING-01-10-06
Over-the-counter cough suppressants ineffective,physicians say
(KRT Wire 2006.1.9)
http://www.montereyherald.com/mld/montereyherald/news/nation/13587354.htm
2006.01.08 心臓病患者にL-アルギニンは安全か?
L-アルギニンは、動脈硬化の予防や改善などに効果があるアミノ酸サプリメントとして、日本でも広く使われていますが、JAMAの最新号で心臓病患者の服用は死亡のリスクを高めるとする研究報告が示され、話題になっています。
L-arginine therapy in acute myocardial infarction
(JAMA. 2006; 295(1):58-64)
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/295/1/58
この研究は、心筋梗塞を起こした153人(77人が60歳以上)に行われた二重盲検ランダム化試験で、L-アルギニンを飲んだ群では6ヶ月の間に6名が死亡(8.6%)、一方飲まなかった群では死亡者はいなかったとのことで、安全性の観点からその後試験は中止されています。
L-アルギニンに関する情報は、書籍やインターネットでは安全性が高く、効果があるとするものがほとんどですが、研究者らは、死亡との関連性が深いとして、急性心筋梗塞後の患者にはL-アルギニンを使用しないよう求めています。
この論文を受け、カナダ当局(Health Canada)は5月16日、心臓発作を起こした人はL-アルギニンを使わないよう国民に注意を勧告しています。
Health Canada advises heart patients not to use products containing L-arginine
(heath canada Advisory 2006.5.16)
http://www.hc-sc.gc.ca/ahc-asc/media/advisories-avis/2006/2006_30_e.html
参考:ニッポン消費者新聞2006年1月6日
http://www.jc-press.com/kaigai/200601/010601.htm
L-arginine Supplements Linked to Increased Risk of Death in MI Patients
(MedpageToday 2006.1.3)
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/AcuteCoronarySyndrome/tb/2422
Dietary supplement may harm heart patients: study(ABC NEWS 2006.1.3)
http://abcnews.go.com/US/wireStory?id=1466517
アルギニンは動脈硬化症・虚血性疾患を予防・改善します!
http://homepage3.nifty.com/jnp/framepage/framepage
(sub5_1(atherosclerosis_kyoketuseisikkan)).htm
Should The Public Be Wary of Arginine Supplements? Think Again
(Foodconsumer org. 2006.1.5)
http://www.foodconsumer.org/777/8/
Should_The_Public_Be_Wary_of_Arginine_Supplements_Think_Again_.shtml
2005.01.05 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.25
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、12月28日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.3 No.25を公表しました。
パロキセチン(パキシル)、リツキシマブ(リツキサン注)、ガチフロキサシン(ガチフロ)、ワルファリン(ワーファリン)、オセルタミビル(タミフル)、QT延長を引き起こす医薬品などの情報が掲載されています。
目次はこちらです。全文はこちら(PDF)です。
2006.01.05 受精能検査キットがOTCとして発売へ(英国)
1月4日の英国報道によれば、バーミング大学の研究者が開発した、男性向けの受精能検査キット(Male fertility kit)が、世界で初めてOTCとして発売されるだろうと伝えています。
この検査キットの操作は簡単で、1時間以内での判定が可能で、精液中の精子数が1ミリリットル中1千万個のレベルにあれば、陽性反応を示すとのことです。
不妊症は、精子数が十分でないなど、男性が原因のこともあり、不妊治療の相談の前に利用することは有用だろうと伝えています。但し、価格は79.99ポンド(約16,000円)で安いものではないようです。
参考:Male fertility kit goes on sale(BBC NEWS 2005.1.4)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/west_midlands/4579832.stm
First ever DIY fertility test for men (the Daily Mail 205.1.4)
http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/health/healthmain.html?
in_article_id=373161&in_page_id=1774
2006.01.05 エピネフリンからアドレナリンへ
読売新聞の報道によれば、次回の局方改正で、「アドレナリン」が正式名として収載されることになったそうです。
既に欧州では、「エピネフリン」ではなく「アドレナリン」が一般名として採用されていますが、日本と米国、メキシコなどでは、米国の学者が命名した「エピネフリン」が採用されています。日本でも、96年の改正前までは、「アドレナリン」は別名扱いで収載されていましたが、今は別名からも削除されています。
3月末に告示される改正薬局方では、「エピネフリン」の方を別名扱いとし、「アドレナリン」が正式名となるそうです。
アドレナリンは、高峰譲吉と助手の上中啓三が、研究生活を送っていた米国で1900年に牛の副腎から初めて抽出したホルモンで、高峰の業績に詳しい菅野富夫北海道大名誉教授らが「発見者の母国であり、正式名称にしてほしい」と以前より厚労省に申し入れていたそうです。
参考:読売新聞1月4日
2006.01.01 ニコチン代替療法は未成年・妊婦・授乳婦にも有用(英国)
英国保健省は12月29日、ニコチン代替療法(NRT)について、従来は対象外であった12歳以上の未成年者や妊婦、授乳婦などについても、喫煙を続けることよりも有益性が高いとして、包装に書かれている使用制限の記載を削除すると発表し、MHRA(英国医薬品医療用製品規制庁)のサイトに、関連情報(医療専門職向け情報・一般向けリーフレット・Q&A)を掲載しました。
More people to benefit from nicotine replacement therapy(2005.12.29)
http://www.dh.gov.uk/NewsHome/NewsArticle/fs/en?
CONTENT_ID=4125673&chk=tTBSLR
New advice on use of nicotine replacement therapy (NRT)
: wider access in at-risk populations(MHRA 2005.12.29)
http://www.mhra.gov.uk/home/idcplg?IdcService=SS_GET_PAGE
&useSecondary=true&ssDocName=CON2022933&ssTargetNodeId=221
日本語訳概要が、海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.1に掲載されています。
但し、妊婦・授乳婦への使用は胎児・乳児への影響を考え禁煙できなかった場合に限るとし、妊婦については吐気の副作用を考慮し、パッチを推奨(但し寝る前に剥がす)、また授乳婦についてパッチ以外を推奨しています。(母乳へ移行するニコチンの量は少量であり、むしろ間接喫煙による煙を吸うことの方が危険)
ただ、妊婦への使用は1月3日の Daily Mail紙(オンライン)の報道によれば、journal Obstetrics And Gynaecology に、ニコチンパッチなどの使用が先天性奇形のリスクを高めるとする論文が掲載されたことを紹介し、現実的にはできる限り避けるのが懸命なようです。
Smoking Habits, Nicotine Use, and Congenital Malformations
(Obstetrics & Gynecology 2006;107:51-57)
http://www.greenjournal.org/cgi/content/abstract/107/1/51
また、未成年者(12歳〜18歳)についても、NRTの誤用や濫用の可能性はないとして、12週間に限りNRTの使用を認めています。(但し、12週間を超える場合は、医師・薬剤師・看護師などの医療専門職との相談が必要)
現在、英国では全部で6種類のNRT(ガム・パッチ・鼻腔スプレー・吸入・舌下錠・ロセンジ)がOTCとして発売(処方薬として入手も可)されていることから、英国王立薬剤師会では、それぞれについての助言を行うとの談話を発表しています。
なお、保健省ではさらに、NRTが入手しやすいように、一般商店での販売を認める方向で検討しているようです。
日本では、ニコレットを未成年に売ってはいけないとされていますが、英国での今回の発表をみると、薬剤師の職能が発揮できるものとして、より現実的な決定と思うのですが、日本では無理なのでしょうか?
関連情報:第79回アポネットR研究会報告(ニコチン代替療法剤について)
参考:Restrictions lifted on nicotine replacement therapy
(PJ online news 2006.1.7)
http://www.pharmj.com/Editorial/20060107/news/p3nicotine.html
NRT use in pregnancy increases risk of birth defects, study suggests
(PJ online news 2006.1.7)
http://www.pharmj.com/Editorial/20060107/news/p3pregnancy.html
Nicotine therapy for teen smokers(BBC NEWS 2005.12.29)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4567418.stm
Children of 12 and pregnant women to be allowed nicotine patches
(Guardian Unlimited Politics 2005.12.30)
http://politics.guardian.co.uk/publicservices/story/0,11032,1675227,00.html
Mothers told of nicotine patch link to birth defects
(the Daily Mail 2006.1.3)
http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/health/womenfamily.html?
in_article_id=373047&in_page_id=1799
Research Suggests First Trimester Use of Nicotine Substitutes
Increases Risk of Birth Defects(2006.1.3)
http://www.newsinferno.com/storypages/01-03-2006~004.html