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2005.05.30 厚労省、日本脳炎予防接種の中止を勧告
2005.05.30 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No10
2005.05.29 栄養研、新たに健康食品の144素材情報をHPに掲載
2005.05.28 特定療養費制度を利用して、イベルメクチンを疥癬治療に
2005.05.28 バイアグラ服用で、深刻な視力障害か(5/30更新)
2005.05.26 医薬品・医療用具等安全性情報213号
2005.05.26 死亡例も? 医薬品成分が検出された「ダイエット用健康食品」(5/29更新)
2005.05.23 サリドマイド、膵臓がん治療に-医師主導の治験実施へ
2005.05.23 学校薬剤師の報酬、年額30万円は妥当か?(大阪府調査)
2005.05.18 日薬、インスリン製剤の適正使用のための情報をHPに掲載
2005.05.18 日本チェーンドラッグ協会、OTCをリスク別に3分類にする販売制度を求める
2005.05.18 「アガリクス」バイブル本は、未承認医薬品の広告に該当
2005.05.16 たばこ規制における保健医療専門家の役割-世界禁煙デーのテーマ
2005.05.16 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.9
2005.05.10 日薬、「新任薬剤師のための調剤事故防止テキスト」を公表
2005.05.10 野菜や果物の摂取は、大腸がんの予防効果なし:厚労省研究班(6/7更新)
2005.05.09 抗がん剤、承認基準を欧米並みに厳しく
2005.05.09 新薬の特許期間を8年に延長、後発品収載は年2回へ
2005.05.02 国立栄養研、「特定保健用食品」の有効性・安全性情報をHPに掲載
2005.05.02 厚労省研究斑、ゾニサミドのパ−キンソン病への治療効果を確認
2005.05.02 日本頭痛学会、来月から専門医を認定
2005.05.02 FDA、イブプロフェン含有OTC薬に心血管リスクに関する表示を求める
2005.05.02 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.8
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2005.05.28 厚労省、日本脳炎の予防接種中止を勧告
厚生労働省は30日、現在供給されている日本脳炎ワクチンによって重症の副作用が起きる可能性があるとして、都道府県を通じて、当面、市町村に公費負担での予防接種を中止するよう求める緊急の勧告を出した。
日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/05/tp0530-1.html
ここ10年は患者が年数人しか出ていない一方で、接種の副作用で、2003年度には80人が健康被害を受けているという。特に、急性散在性脳脊髄炎(ADEM、発熱、頭痛、けいれん、運動障害の症状を伴う)の報告事例が平成6年度から現在までに21件に達し、また、マウス脳による製法の日本脳炎ワクチンの使用と重症のADEMとの因果関係を肯定する論拠があると判断されたことから、今回の勧告となった。
今後は現在開発中の、よりリスクが低いと期待される組織培養法による、改良型の日本脳炎ワクチンの供給が可能となる体制ができたときに、接種勧奨を再開する。但し、海外旅行者など接種を希望する人に対しては、副作用の危険性を十分に説明し、同意の上で現在でのワクチンで実施するとしている。
日本脳炎ワクチン接種の積極的推奨差し控えQ&A
http://www.mhlw.go.jp/qa/kenkou/nouen/index.html
資料:日本脳炎に関する専門家ヒヤリング会議議事録(2004年7月23日開催)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/txt/s0723-5.txt
予防接種に関する検討会中間報告について(2005年3月31日)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/03/dl/h0331-7a.pdf
参考:毎日新聞、朝日新聞、読売新聞5月30日
2005.05.30 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.10
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、5月30日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報) Vol.3 No.10を公表しました。
ゾレドロン酸水和物(ゾメタ注射液)、パミドロン酸ニナトリウム(アレディア注)、タモキシフェン(ノルバテックス)、シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)などの情報が掲載されています。
2005.05.28 栄養研、新たに健康食品の144素材情報をHPに掲載
独立法人 国立健康・栄養研究所は、「健康食品の安全性・有効性情報」のサイトを通じて、サプリメント・健康食品の素材98種類について、科学的根拠に基づく評価をしたものを掲載していたが、5月23日、新たに144素材についての情報を掲載した(更新日も掲載)。これで、素材としては合計242種類となった。
健康食品の安全性、有効性情報(独立行政法人 国立健康・栄養研究所HP内)
http://hfnet.nih.go.jp/main.php
2005.05.28 特定療養費制度を利用して、イベルメクチンを疥癬治療に
5月19日、日病薬(URL:http://www.jshp.or.jp/)は腸管糞線虫症治療剤として承認されているイベルメクチン(商品名:ストロメクトール錠3mg)について、発売元の万有製薬が、疥癬に対する効能・効果の追加申請を行ったことから、特定療養費制度を活用して、疥癬治療での同剤使用を促す通知を行った。
特定療養費制度を利用して、イベルメクチンを用いた疥癬治療を行うには、各医療機関がそれぞれの都道府県社会保険事務局に必要な書類を添付して届けることや、患者さんに対する十分なインフ ォームド・コンセントが必要とされていることから、本通知には、これらについての提出書類の参考例や、説明文書・同意書の事例なども掲載されている。
イベルメクチン内服剤の疥癬治療への使用について
(日本病院薬剤師会 2006.5.19)
http://www.jshp.or.jp/cont/050519.pdf
2005.05.28 バイアグラ服用で、深刻な視力障害か
FDAは27日、バイアグラの服用者38人に、「非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)」という深刻な視力障害が出ているとの報告を受け、調査を始めたことを明らかにした。現時点では、直接の因果関係は不明だが、同様の事例報告が、同効薬のシアリス(日本では未承認)で4件、レビトラで1件寄せられていることから、医師や患者に注意喚起するため、添付文書の改訂を検討しているという。
このNAIONは、視神経に血液が流れにくくなって突然視力が低下、ひどい場合は失明するというもので、50歳以上で高血圧や糖尿病があると発症のリスクが高いという。
この問題は今年3月、ミネソタ大の研究者が、バイアグラの服用後36時間以内にNAIONを発症した7人の症例を医学誌 Journal of Neuro-Ophthalmology に報告していたことから、関心が高まっていた。
Nonarteritic Ischemic Optic Neuropathy Developing Soon After Use
of Sildenafil (Viagra): A Report of Seven New Cases
(Journal of Neuro-Ophthalmology. 25(1):9-13, March 2005)
関連情報:
An overview of visual side effects associated with erectile dysfunction agents
(勃起機能不全治療薬に関する視覚への副作用の概要)
(WHO Pharmaceutical Newsletter (No.2,2005) の18ページ)
http://www.who.int/medicines/library/pnewslet/pn2005_2.pdf
日本語訳は、
海外規制機関医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.9に掲載
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly3/10050526.pdf
参考:毎日新聞、朝日新聞、読売新聞5月28日
2005.05.26 医薬品・医療用具等安全性情報213号
厚労省は5月26日、医薬品・医療用具等安全性情報213号を公表しました。
ARB(ニューロタン・ブロプレス・ディオバン・ミカルディス)、トラセミド(ルプラック)などについての情報が掲載されています 詳しくはこちらです。
2005.05.26 死亡例も? 医薬品成分が検出された「ダイエット用健康食品」
食欲抑制剤のマジンドール(サノレックス)と、シブトラミン(肥満症治療薬:国内未承認)が含まれたダイエット用健康食品「天天素」の摂取が原因と思われる、健康被害が相次いで報告されている。
26日には、東京都がこのダイエット食品を服用していた都内の10代の女性が心不全を起こして死亡したと発表している。他の県でも意識を失ったり、下痢や嘔吐などの健康被害が相次いでいることから、厚労省では、下記ページに情報を提供するなどして、服用している場合には直ちに中止するよう、注意を呼びかけている。
東京都プレスリリース(2005.5.26)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/anzen/news/2005/pressyakuji050526.html
マジンドール等を含有する無承認無許可医薬品によると疑われる健康被害について
(厚労省 2005.5.24)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/05/h0524-3.html
ダイエット用食品「天天素(清脂こう嚢)」(マジンドール等を含有する無承認無許可医薬品)によると疑われる健康被害についてQ&A
(厚労省 2005.5.27)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/050527-1.html
・シブトラミン:米国で肥満症の治療に使用。
頭痛、口渇、便秘、不眠、鼻炎などの副作用あり。
米国の添付文書に警告として「血圧及び心拍数の増加」が記載。
海外での死亡例が報告。
・マジンドール:口渇感、便秘、悪心、嘔吐、睡眠障害、胃部不快感などの副作用あり。
向精神薬。
新聞報道によれば、これらの多くはインターネットオークションなどで購入されていることから、厚労省では25日までに、オークションを運営する複数のプロバイダーに、この食品を出品リストから削除するよう要請するとともに、税関に輸入禁止措置を取るよう求めるなど、被害拡大防止に乗り出した。
ダイエット目的や精力剤として、インターネットや通信販売を通じて販売されているもの(特に中国製)の中には、健康食品と称しながら、医薬品成分が含まれていることが、しばしば伝えられています。また、海外旅行のお土産に現地のくすり(健康食品)を買うことも少なくありませんが、こういったものに医薬品成分が含まれている可能性があると、私たちは注意を呼びかける必要があるでしょう。
厚労省では、健康被害情報・無承認無許可医薬品情報というページで、中国製ダイエット用健康食品等関連情報、健康被害情報、無承認無許可医薬品情報を掲載、また栄養研の「健康食品」の安全性・有効性情報でも、「安全情報・被害関連情報」として、医薬品成分を添加した食品(無承認無許可医薬品)の過去の事例の情報 を掲載しているので、疑問の時は確認するとよいでしょう
参考:日本経済新聞、毎日新聞5月26日
2005.05.23 サリドマイド、膵臓がん治療に-医師主導の治験実施へ
サリドマイドを膵臓がん患者に投与する治療を、医師が主体になって未承認薬の臨床試験に当たる「医師主導治験」として実施する計画を、愛鷹病院(静岡県沼津市)の羽田正人副院長らが進めていることが20日明らかになった。
計画によると、対象は切除不能か再発した膵臓がん患者50人が対象で、サリドマイドと抗がん作用がある二剤(羽田氏が運営するサイトの:サリドマイド癌治療・癌との共生を探る http://www.hadaclinic.com/の情報によれば、セレブレックス・ゲムシタビン)を併用し、早ければ夏ごろから投与を始め、有効性や安全性に関するデータを集める。近く、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に計画を届け出る予定だという。
この病院ではこれまでも個人輸入で入手したサリドマイドでがんの治療を行っており、羽田医師も「過去に使い方を間違えた薬ではあるが、がん治療での効果は確か」と話しているという。
医師主導治験は、薬事法や実施基準が適用されるため、安全性の確保につながり、また保険診療と自由診療の併用が例外的に認められることから、患者の負担を減らせる利点がある。厚生労働省によれば、サリドマイドの医師主導治験の届け出は初めてだという。
なお、このサリドマイドは、過去に薬害を起こしたという経緯から、その使用と管理については厳重な監視が求められており、昨年12月に公表された「多発性骨髄腫に対するサリドマイドの適正使用ガイドライン」では、 「サリドマイドの薬品管理は、個人輸入を行った担当医師及び責任医師の監督下でその特性を熟知した薬剤師を責任薬剤師に任命し、管理させることが必要である。医療機関の薬剤部門をサリドマイドの管理組織とし、責任薬剤師は管理基準に関する文書を作成して、遵守すべきである。」として、管理・交付・説明の場で、責任薬剤師の果たすべき役割が、具体的に明記されている。
関連情報:医師主導型の治験とは(治験情報ネット)
http://www.chiken-net.com/ishishudou/04/index.html
医師主導治験について(治験のあり方に関する検討会第1回資料)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/dl/s0329-13f.pdf
医師主導型治験の実施で直面している諸問題について
(治験のあり方に関する検討会第2回資料)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/dl/s0420-6e.pdf
「多発性骨髄腫に対するサリドマイドの適正使用ガイドライン」について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1210-2.html
参考:毎日新聞、読売新聞、東京新聞5月21日
2005.05.23 学校薬剤師の報酬、年額30万円は妥当か?(大阪府調査)
大阪府監査委員は20日の府議会に、府立学校の学校医や学校薬剤師などの報酬について「執務実績に関係なく、毎月一律に支給されるのは不均衡」として改善を求める監査結果を提出した。
大阪府では、報酬については条例に基づいて、学校医と学校歯科医には年額46万8000円、学校薬剤師には年額30万円支給しているが、2004年度に府立学校89校を対象に執務状況を調査したところ、85校で執務実績がない月があり、1年間のうち平均で学校歯科医で8.8カ月、学校薬剤師で7.3カ月、学校医で6.1カ月が「執務実績なし」と確認され、中には、年間1時間5分勤務の学校薬剤師に30万円を払ったりしていたケースもあった。大阪府教育委員会では、「常時対応してもらう顧問的意味があると考えているが、今後は業務内容や報酬について、指摘を踏まえた検討をしたい」と答えたという。
学校薬剤師は、学校保健法によって学校ごとに置くよう義務づけられているが、報酬については、学校保健という立場から行政が独自に裁量をしていく仕組みに変わってきていて、年間報酬も数万から数十万まで大きな開きがあるようです。(検索すると、自治体によってはWEB上の条例で、具体的な金額が掲載されています)
学校薬剤師というと、従来はプールの水質といった、主に環境などの地味な仕事だけでしたが、近年では、小、中、高各校における「薬の正しい使い方」についての啓蒙や、薬物濫用についての取り組みなども少しづつ行われているようです。しかし、その一方で、医薬分業の進展で、一人薬剤師薬局では店を閉めてまで、学校薬剤師活動ができないといった時間的制約や、勤務薬剤師の増加などの事情もあり、なかなか独自な活動が行えないという現実もあるようです。やはり、今後は継続的かつ、目に見える評価される活動も行わないと、今後も同じような指摘がされるのではないかと懸念します。
関連情報:日本学校薬剤師会HP http://www.gakuyaku.jp/
平成16年度日本学校薬剤師会総会報告
http://homepage3.nifty.com/gakuyaku/awa/awaoo13.htm
参考:毎日新聞大阪夕刊、読売新聞大阪版5月20日
2005.05.18 日薬、インスリン製剤の適正使用のための情報をHPに掲載
日薬は、「インスリン製剤の調剤にあたっての留意事項 及び 薬剤交付時の説明事項(使用方法、保管等)に関する解説」と題する、インスリン製剤の適正使用のための情報を、5月17日に会員向け情報のページで公表した。PDFでダウンロードが可能である。
日本薬剤師会HP http://www.nichiyaku.or.jp/
この解説では、インスリン製剤の特徴、患者指導のポイントの他、病院におけるインシデント事例の紹介もされている。
2005.05.18
日本チェーンドラッグ協会、OTCをリスク別に3分類にする販売制度を求める
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、2003年9月28日に全国紙に意見広告を出すなど、かねてより、一般用医薬品をリスクにあった形で分類し、それぞれにあった資格制度で情報提供するという、薬剤師によらない医薬品販売制度案を検討してきたが、5月12日、「一般用医薬品をリスク別に3分類」にすることを柱とする独自の販売制度案と、販売面で薬剤師業務の一部を担当する「一般用医薬品管理販売士(仮称)」(薬学士や現薬種商もこれに移行)、薬剤師または一般用医薬品管理販売士の下で従事する「一般用医薬品販売士(仮称)」など、新たな資格の創設を求める要望書を、厚生労働省医薬食品局長に提出した。
JACDSでは、一般用医薬品販売において安全性(リスクの度合いで分類し、それぞれにあった情報提供を採用)を担保し、かつ利便性(身近な店舗が24時間対応)と効果性(自分だけでなく、子や孫の世代のためにセルフメディケーションを推進させる)を高めるため、一般用医薬品について、以下のような3つのリスクに分類する案を、要望書に盛り込んでいる。
リスク度による分類 | 定義 | 情報の提供方法 |
---|---|---|
開設者管理薬 | 現在、医薬部外品として、コンビニなどで購入できる医薬品。 | 説明内容の吟味 電話・メール・FAXなどによる情報提供 |
一般用医薬品販売士薬 | 長い間使用され、さしたる事故もなく、添付文書の充実、生活者の使用経験や知識がある多くの医薬品。 求めに応じて添付文書の説明から解説、効果的な使用及び生活情報を提供できる体制下で販売される医薬品。 |
一般用医薬品販売士 (現薬種商、JSACDSが認定するヘルスケアドバイザーが相当)による情報提供 |
要薬剤師薬 | スイッチOTC、一般用医薬品でも危険性の高い医薬品。 一定期間、薬剤師が情報提供・販売が必要な医薬品。 |
薬剤師のもとでの情報提供 |
参考:読売新聞他 意見広告(2003年9月28日)
薬事日報5月9日
薬事日報5月18日
2005.05.18 「アガリクス」バイブル本は、未承認医薬品の広告に該当
アガリクス成分を含んだ健康食品を「がんに効く」と書籍で宣伝していた薬事法事件で、警視庁は先月に続き、5月18日、関係する出版社と健康食品製造会社など8カ所を、薬事法違反(承認前の医薬品の広告、無許可販売)の疑いで家宅捜索した。
健康食品であっても、病気への効能をうたって売れば健康食品でも薬事法では医薬品とみなされる。今回のケースでは、警視庁の生活環境課も当初、これら出版物の記載内容が広告に該当するか、憲法で保障する言論・出版の自由を侵さないかといった点を慎重に検討していたが、「巻末の問い合わせ先の電話番号に連絡すれば特定の商品を買える仕組み」「他の商品より効き目が速く安全性が高いなどと優位性を強調」といったことから、これら書籍(出版物の内容)は広告(宣伝物)と判断し、捜査を続けてきた。
4月20日の毎日新聞によれば、書籍を広告物として薬事法違反の捜査対象としたのは初めてという。
参考:毎日新聞4月20日、5月18日
朝日新聞4月19日
2005.05.16 たばこ規制における保健医療専門家の役割-世界禁煙デーのテーマ
毎年5月31日は、WHOが制定した「世界禁煙デー」です。これは、WHOが「たばこのない世界」を目指して、喫煙と健康問題について考え、 適切な実践を求める日として1988年に定めたもので、今年で18回目になります。この日は、WHOが喫煙者に対しては、24時間喫煙を控えるよう呼びかけるとともに、各国の政府・自治体・諸機関・個人に対しては、喫煙と健康問題の認識を深め、適切な対策の実践を求める日とされています。
日本では、禁煙デーの日から1週間を禁煙週間としており、WEB上で検索すると自治体レベルでもさまざまな取り組みが予定されているようです。
今年は、たばこ規制枠組み条約発効後ということもあり、下記のようなテーマとスローガンが掲げられています。(日本語訳は、厚労省HPページ、Anti-Smoke Site:http://www.anti-smoke-jp.com/より引用)
テーマ:たばこ規制における保健医療専門家の役割
(The role of health professionals on tobacco control)
スローガン:たばこに向かう保健医療専門家‐行動と対策を
たばこに対して医療専門家は、行動し結果をだそう
(Health Professionals Against Tobacco, Action and Answers)
5月31日当日には、WHOのテーマに沿ったシンポジウムが東京で予定されていて、日薬の代表もパネリストの一人として発言されるようです。
資料:5月31日は「世界禁煙デー」(厚生労働省:たばこと健康に関する情報ページ)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en/index.html
たばこ規制枠組条約発効記念の催し・記録集(2004年11月27日開催)
http://www.jcancer.jp/nonsmoking/tabaco.pdf
(全72ページ ファイルは5MBくらいあります、日本対がん協会のHP内)
医師・歯科医師・看護師・薬剤師・学校などの活動例が紹介されています。
たばこ規制枠組み条約
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(外務省)のページ
和文テキストはこちら[PDF] 説明書はこちら[PDF]
WHOのたばこ規制枠組み条約に関するページ
WHO Framework Convention on Tobacco Control (WHO FCTC)
http://www.who.int/tobacco/framework/en/
禁煙補助剤の販売などを通じて、私たち薬剤師も禁煙支援を行う保健医療の専門家の一人として重要な役割を果たしています。しかし、薬局・薬店内で禁煙が実施されていない、また薬局・薬店で、現在でもなお「たばこの販売」が行われるなど、薬局や薬剤師が真剣に向き合わなければいけない問題も残されています。今回のWHOのスローガンを受けて、私たちは真剣に「たばこ」について考えなければならないでしょう。
関連情報:薬剤師のお役立ち情報:たばこ
Topics:2004年12月6日 2004年11月6日
2005.05.16 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.9
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、5月12日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報) Vol.3 No.9を公表しました。
SSRI/SNRI、ホルモン補充療法、インターフェロンβ-1b、バルデコキシブ、タクロムリス(プロトピック)軟膏などの情報が掲載されています。
2005.05.10 日薬、「新任薬剤師のための調剤事故防止テキスト」を公表
日薬はこのほど、新任薬剤師のための調剤事故防止テキスト」を作成し、5月10日に会員向け情報のページで公表した。PDFでダウンロードが可能である。
日本薬剤師会HP http://www.nichiyaku.or.jp/
このテキストは、次の6章で構成されており、新卒薬剤師や、実務経験にしばらくブランクのあった新任薬剤師が、調剤業務を行う際に注意すべき点が具体的で、わかりやすく書かれている。
第1章「心構え」
第2章「調剤業務のポイント」
第3章「新任薬剤師が起こしやすいミスを具体的に知ろう」
第4章「疑義照会」
第5章「病院・診療所に勤務する新任薬剤師の方へ」
第6章「調剤過誤・調剤事故を起こしてしまったら」
2005.05.10 野菜や果物の摂取は、大腸がんの予防効果なし:厚労省研究班
野菜や果物をたくさん食べても大腸がんになる危険性は変わらないとする、厚生労働省研究班による大規模疫学調査の結果が、9日付の英国のがん専門誌に論文が掲載された。
研究班は90年と93年に、秋田県、長野県、沖縄県など全国9地域で、40歳から59歳の男女約9万人にアンケートし、野菜と果物を食べる量を聞いた。その後、7年〜10年間追跡調査し、大腸がんにかかったかどうかを確認した。野菜と果物の摂取量により、「最も少ない」「2番目」「3番目」「最も多い」の4グループ(同人数)に分けて比較。全体で705人が大腸がんになったが、4グループとも大腸がんになる危険性は年間1000人に1人前後で変わらなかったという。
野菜や果物摂取による大腸がん予防効果については、世界保健機関(WHO)や国際がん研究所などでも、「効果を示す証拠は限定的」などとする否定的な報告が2003年に発表されている。毎日新聞によれば、研究班の坪野吉孝東北大教授も「野菜や果物の摂取は胃がんや心臓病、糖尿病の予防に役立つとされており、食べる方がよい。しかし、大腸がんの予防効果は、仮にあるとしても小さいだろう。大腸がん予防には、飲酒を控える、積極的に運動するなどがよい」と述べている。
一方、同じ研究班は以前、野菜や果物が胃がん予防に有効だと発表しており、研究班では「野菜や果物を食べることは奨励すべき生活習慣であることに変わりはない」ともしている。
No association between fruit or vegetable consumption and the risk of colorectal cancer in Japan
(British Journal of Cancer (2005) 92, 1782-1784)
野菜・果物と大腸がんリスクについて(JPHC リサーチニュース)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/rnews/news014.html
参考:毎日新聞5月9日、読売新聞・共同通信5月10日
2005.05.09 抗がん剤、承認基準を欧米並みに厳しく
日本経済新聞によれば、厚生労働省は「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン」を改正し、6月にも抗がん剤の承認基準が強化されると報じている。
抗がん剤はこれまで腫瘍の縮小効果が認められれば、原則承認していたが、新たに肺や胃、大腸など患者の多いがんについては、患者の延命効果を調べる臨床試験を実施し、承認新生児にデータを提出するように求めるという。
一方、患者数が少なく、延命効果の確認が難しい抗がん剤については、腫瘍の縮小効果だけでの申請も認め、また海外で実施した延命効果に関するデータも認める方針だという。
参考:日本経済新聞5月8日
2005.05.09 新薬の特許期間を8年に延長、後発品収載は年2回へ
日本経済新聞によれば、厚生労働省は新薬の特許期間を、現在の6年から8年に延長する検討に入ったと報じている。また一方で、後発品の薬価収載については、現在の年1回から年2回にふやし、後発薬の参入機会を広げて薬の価格の低下を促す。これらは、来年の医療制度改革にあわせて実施される見込み。
これは日本の特許期間の6年は、約10年の欧州主要国などに比べて短く、国内の製薬大手などからは画期的な新薬を開発しても投資費用を回収するのが難しいとの声が少なくない為で、欧米の製薬大手による日本への買収攻勢が本格化するとの見方も強まる中で、国内メーカーの国際競争力を高める狙いがあるという
参考:日本経済新聞5月7日
2005.05.02 国立栄養研、「特定保健用食品」の有効性・安全性情報をHPに掲載
国立健康・栄養研究所はこのほど、「特定保健用食品」について、効果的な食べ方や実験データを製品ごとにまとめ、ホームページに掲載した。
特定保健用食品は3月末現在、493品目が許可・認証されているが、店頭や商品は「血圧が高めの方に」「体脂肪が気になる方に」など簡単な表示だけのため、どういう作用が起こるのか専門家でも分かりにくいと指摘されていた。
同研究所では、メーカーが用意したデータを同研究所が指導した上で、商品名、写真、連絡先、一日の摂取目安量といった一般向けのほか、作用・効果の分析方法、動物・ヒト実験結果といった専門的な内容も掲載している。現在、184品目が閲覧でき、さらに順次掲載される見通し。
「特定保健用食品」の有効性・安全性情報:
http://hfnet.nih.go.jp/contents/sp_health.php
参考:東京新聞4月30日
2005.05.02 厚労省研究斑、ゾニサミドのパ−キンソン病への治療効果を確認
国立精神神経センターの村田美穂を中心とする研究班は、日本では抗てんかん薬として使用されているゾニサミド(エクセグラン)がパーキンソン病に対して、高い治療効果があることを大規模臨床試験で確かめた。
ゾニサミドのパーキンソン病への効果は、すでに2001年に同氏らのグループによる研究で明らかになっていて、その作用機序は、ドパミン合成促進作用と軽度のMAO-B阻害作用によって抗パーキンソン効果を示し、またレボドパの作用を増強し延長することが考えられるという。
参考:2005年5月2日 日本経済新聞
現在開発中の期待できるパーキンソン病治療薬
http://members.jcom.home.ne.jp/almond41/kari/iryou_kaihatu.html
PD Treatment Update from Movement Disorders Congress 2004
http://www.mdvu.org/emove/article.asp?ID=722
2005.05.02 日本頭痛学会、来月から専門医を認定
神経内科医や脳外科医など、約1000人で構成される「日本頭痛学会」は、6月までに一定基準を満たす医師を「頭痛医」として認定し、患者が適切な診療を受けられるようにする。初年度は約100人を認定し、3年後には1000人程度まで増やし、全国で診療にあたる体制を目指す。
厚労省によれば、偏頭痛を訴える人は国内に約840万人いるという。厚労省研究班では、「慢性頭痛の診療ガイドライン」を今月中にも公表し、国際基準に基づく診療が行われるよう目指す。
関連情報:日本頭痛学会ホームページ(http://www.jhsnet.org/)内の
日本頭痛学会専門医認定制度(http://www.jhsnet.org/jhs_ninteiiseido1.htm)
参考:日本経済新聞5月2日
2005.05.02 FDA、イブプロフェン含有OTC薬に心血管リスクに関する表示を求める
日本以外の欧米各国で、胃腸障害が少ないNSAIDSとして広く使われていた「COX-2阻害剤」が、心筋梗塞など心血管疾患の副作用と関連が深いとして、最近相次いで、回収や使用の自粛に追い込まれている。さらにFDAでは、従来型のNSAIDSについても、「最近冠動脈バイパス術を受けた患者に対する使用の禁忌」や、心血管リスクがあることなどについて、患者と医師が十分話し合うことを求めるなど、より慎重な使用を勧告している。
現在のところ日本では、この「COX-2阻害剤」は、個人輸入を除き使用されてはいないが、研究者の話として、COX-2阻害作用が比較的高い(選択性が高い)として、メロキシカム(モービック)や、エトドラク(ハイペン・オステラック)については、「心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがある人や高齢者など、動脈硬化が進んでいる場合は、これらの薬を避けた方がよい」という慎重な使用をすべきという意見も示されている。(読売新聞3月28日)
こういった中、FDAは現在市販されているNSAIDS(米国では、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェンが、OTCとして自由販売されている。アスピリンは抗血小板薬であり、心血管リスクを低減することから除外)についても、 短期間、低用量で使用した場合の重篤な心血管リスクの増大は示唆されていないものの、これらの製品の安全な使用に関して、消費者により詳しい情報を提供するよう、表示の変更を製薬会社に求める勧告を行っている。
Important Changes and Additional Warnings for COX-2 Selective and Non-Selective Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs)
(FDA Public Health Advisory FDA Announces 2005.4.7)
http://www.fda.gov/cder/drug/advisory/COX2.htm
日本語訳は、海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.8に掲載
具体的には、今後、次のような情報の掲載が求められるようです。
- 潜在的な心血管および胃腸のリスクについての、より具体的な情報の掲載
- これらの薬を使用する前に、どのような患者が医師の助言を受けるべきかについての明示
- 医師からの助言が特にない限り、添付文書に従って、用量および服用する期間を限定範囲内に留めることを、より強く注意喚起させる
- 皮膚反応の可能性についての警告の明示
参考:日経DI 2005年4月号:副作用多発で八方塞がり? NSIDsでも心血管リスク
読売新聞3月28日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/sa532801.htm
2005.05.02 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.3 No.8
国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、4月28日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報) Vol.3 No.8を公表しました。
COX−2選択的阻害剤、NSAIDS、非定型抗精神病薬(リスパダール、ジプレキサ、セロクエル)、ゲフィニチブ(イレッサ)、アトルバスタチン(リピトール)、蜂由来製品(ロイヤルゼリー、プロポリス)などの情報が掲載されています。