医薬品販売制度の見直し
1.医薬品販売制度改正検討部会とは
近年、国民意識の変化、医薬分業の進展等、一般用医薬品を取り巻く環境が大きく変化しています。
昭和35年に制定された薬事法においては、医薬品販売について、薬剤師等の店舗への配置により情報提供を行うことを求めていますが、必ずしも十分に行われていない実態があります。
また、薬学教育6年制の導入に伴い、薬剤師の専門性がより一層高まることとなります。
このため厚労省では、一般の商品と異なる医薬品の安全確保の必要性を踏まえ、医薬品のリスク等の程度に応じた適切な情報提供を行うための実効性のある医薬品販売制度を構築することを目的とした「医薬品販売制度改正検討部会」を2004年5月に設置し、医薬品販売制度の見直しに踏み切りました。
以後23回の部会と12回の専門部会が開催され、医薬品販売制度のあり方についての議論が行われ、2005年12月15日に報告書がとりまとめられました。
厚労省ではこの報告書を受けて、厚労省は薬事法改正に向けて法案制定の作業に着手し、2006年3月に薬事法の改正案を国会に提出、国会での審議を経たのち、2006年6月に法案は可決されました。
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2.医薬品販売制度改正検討部会での論点
まず、第2回の検討部会(議事録はこちら)で関係者からヒアリング(内容の要旨はこちら)を行い、第4回の検討部会において、論点が整理されました。そして、薬局、一般販売業、薬種商販売業、配置販売業及び特例販売業の各業態に関し、現在下記の論点での検討が行われています。
また、検討に際し、本検討会では、医薬品販売制度や販売の実態について、さまざまな調査を行い、その結果や分析が公表されています。
検討項目 |
論点 |
1.医薬品のリスクの程度の評価
(検討状況についてはこちら) |
- 医薬品のリスクの内容及びその程度の評価・分析のあり方について、どう考えるか。
- 医薬品のリスクの程度の評価・分析に当たり、その医薬品の薬理作用だけでなく、適正使用のために必要な情報提供の内容や、消費者の状況(小児、妊婦、高齢等)を考慮することについて、どう考えるか。また、医療用医薬品や食品との相互作用(いわゆる飲み合わせ、食べ合わせの問題)について、どう考えるか。
- 各医薬品のリスクの程度の評価を見直す場合の期間、手続等について、どう考えるか。
- その他
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2.医薬品の販売に当たっての必要な情報提供等
(検討状況についてはこちら)
(1)情報提供の内容 |
- どのような場面で、どのような情報提供が必要となるか。(例:医薬品の選択、使用上の注意の喚起)→論点1(検討会での意見等はこちら)
- 情報提供のあり方については、副作用の発現の態様等、医薬品のリスクの程度に応じて検討すべきではないか。→論点2(検討会での意見等はこちら)
- 消費者への適切な情報提供を行うため、医薬品の製造業者や国から医薬品の販売店に提供する情報(添付文書等)の内容について、どう考えるか。→論点4(検討会での意見等はこちら)
- 適切な情報提供のため消費者の病歴、副作用歴等を確認する必要が生じる場合に、個人情報の保護との関係について、どう考えるか。→論点3(検討会での意見等はこちら)
- 新しい知見に基づく情報提供の内容の更新について、どう考えるか。→論点5(検討会での意見等はこちら)
- その他
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(2)情報提供の手法 |
- 医薬品のリスクの程度に応じた情報提供のための、専門家の配置のあり方や対面販売の必要性について、どう考えるか。→論点6(検討会での意見等はこちら)
- 情報提供のうち、消費者に対し能動的・積極的に行うべきものとそうでないものとの区分について、どう考えるか。→論点7(検討会での意見等はこちら)
- その他
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(3)販売後の副作用発生時等への対応 |
- 副作用の未然防止だけでなく、その拡大を防止するための情報提供のあり方について、どう考えるか。→論点8(検討会での意見等はこちら)
- 消費者から副作用に関する相談に対応し、必要に応じ、国への報告等を行うべき者について、どう考えるか。→論点10(検討会での意見等はこちら)
- 販売した医薬品に関する緊急の副作用情報があった場合の消費者への周知方法について、どう考えるか。→論点11(検討会での意見等はこちら)
- 医薬品の副作用の発見・治療・救済に関し、国民にわかりやすい情報提供システムのあり方について、どう考えるか。→論点9(検討会での意見等はこちら)
- 販売後における消費者からの副作用相談以外の問い合わせ(使用方法等)への対応のあり方について、どう考えるか。→論点12(検討会での意見等はこちら)
- その他
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(4)医薬品の管理 |
- 有効期限の確認や適正な保管等の医薬品の管理を行うべき者について、どう考えるか。→論点13(検討会での意見等はこちら)
- 専門家による消費者への情報提供の機会を確保するための医薬品の陳列のあり方(例:オーバー・ザ・カウンター)について、どう考えるか。
- その他
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3.医薬品販売に従事する者の資質とその確保
(検討状況についてはこちら) |
- 医薬品のリスクの程度に応じ、実効性のある情報提供を行うため、医薬品販売に従事する者に求められる資質とその資質の確保のあり方について、どう考えるか。→論点14(検討会での意見等はこちら)
- 薬学教育6年制の導入による薬剤師の専門性の向上も踏まえ、一般用医薬品の販売に関する薬剤師の今後の役割・責務について、どう考えるか。→論点15(検討会での意見等はこちら)
- その他
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4.医薬品販売に関する責任
(検討状況についてはこちら) |
- 情報提供に関し、薬局・薬店の開設者、管理薬剤師、それ以外の薬剤師等、それぞれについての責務の内容やそのあり方について、どう考えるか。→論点16(検討会での意見等はこちら)
- 医薬品による副作用があった場合に、添付文書を作成した医薬品の製造業者の責任、薬局・薬店の情報提供に関する責任及び消費者のリスク認識等の関係について、どう考えるか。→論点17(検討会での意見等はこちら)
- 消費者への適切な情報提供、販売後の副作用発生時等への対応、医薬品の管理、従業員の監督等、各薬局・薬店における医薬品販売に関する責任を負うべき者について、どう考えるか。→論点18(検討会での意見等はこちら)
- その他
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5.消費者への周知等
(検討状況についてはこちら) |
- 医薬品の効能効果、副作用の情報等について、消費者(国民)にどのように普及啓発していくか。→論点19(検討会での意見等はこちら)
- 消費者への情報提供を行う専門家と他の従業員との識別方法について、どう考えるか。→論点20(検討会での意見等はこちら)
- 情報提供の内容が消費者に十分に理解されるための外箱等への表示や文書の活用について、どう考えるか。→論点21(検討会での意見等はこちら)
- 消費者への情報提供が行われたかどうか、また、情報提供の内容を消費者が理解しているかどうか確認することについて、どう考えるか。→論点22(検討会での意見等はこちら)
- 消費者の適正使用を促すためのその他の方策について、どう考えるか。→論点23(検討会での意見等はこちら)
- その他
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6.情報通信技術の活用 (検討状況についてはこちら) |
- 消費者への情報提供及び流通段階や販売店における医薬品の管理等に情報通信技術を活用することについて、どう考えるか。→論点24(検討会での意見等はこちら)
- その他
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7.法令上の措置 |
- 上記1〜5をどのように法令上位置づけるか。また、その実効を確保するための行政による評価及びそれをふまえた監視・指導、行政処分等の法令上の措置のあり方について、どう考えるか。
- その他
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8.その他(検討状況についてはこちら) |
- インターネット販売、カタログ販売及び個人輸入の形をとった販売形態について、専門家による情報提供の観点から、どう考えるか。→論点25(検討会での意見等はこちら)
- 専門家の関与がない特例販売業について、どう考えるか。→論点26(検討会での意見等はこちら)
- その他
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論点整理に関する第3回部会での委員からの指摘事項(第4回資料4)
一般用医薬品の販売におけるリスクと販売活動の規制についての考え方
(一橋大学 松本恒雄委員資料 第7回提出)
医薬品供給と薬剤師の任務
(日本薬剤師会 児玉孝委員資料 第12回提出)
今後の議事進行について
(全国薬害被害者団体連絡協議会 増山ゆかり委員資料、第13回提出)
(「医薬品のリスクの程度の評価」の検討との関連)(第17回資料3-1)
(文責:小嶋慎二)
最終更新日 2009年8月15日
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