医薬品販売制度の見直し
3.項目ごとの検討状況
・検討会における発言等の整理
論点14・16・19に関する第12回部会での発言等の整理(第13回資料1-2)
論点14〜18に関する第13回部会での発言等の整理(第14回資料1-2)
論点14:医薬品のリスクの程度に応じ、実効性のある情報提供を行うため、医薬品販売に従事する者に求められる資質とその資質の確保のあり方について、どう考えるか。
論点16:情報提供に関し、薬局・薬店の開設者、管理薬剤師、それ以外の薬剤師等、それぞれについての責務の内容やそのあり方について、どう考えるか。
論点18:消費者への適切な情報提供、販売後の副作用発生時等への対応、医薬品の管理、従業員の監督等、各薬局・薬店における医薬品販売に関する責任を負うべき者について、どう考えるか。
- 医薬品販売に従事する者のそれぞれの役割、責任について考えていくとき開設者、管理薬剤師、薬剤師、薬種商、および各店舗に従事する従業員と分けて考えて行くべきである。
- 現行薬事法においては、取扱う医薬品の範囲(医薬品のリスク)に応じ、管理者に求められる資格要件が定められているが、医薬品販売に従事する者については、明確な資質は定められていない。しかし、医薬品販売に従事する者においても取扱い品目に関する使用方法や服薬時の注意事項等の知識が必要であると考える。
- 今後、医薬品販売に従事する者のなかに現在の薬種商の呼称を入れてほしい。
- 医薬品販売に従事する者として、管理責任もある者と販売に従事する者とある程度分けて考えていくべきであり、管理責任のある者は求められる責任等について良く理解していることが必要であるため、その持っている知識や経験が担保されていることが必要である。
- 販売に従事している者のうち、管理責任者以外の従業員についてもその資質はきちんと担保されるべきである。また、販売に直接従事する者はその資質を担保する意味で試験をして合格者が資格者として販売することが最良である。
- 医薬品のリスク情報の収集については、薬局開設者や医薬品販売業の許可を受けた者に対し求められるべきものであるが、消費者への直接的な情報提供については、個別に対面で医薬品を販売する者の役割と責任が大きく、医薬品販売に従事する者の資質確保が重要であると考えている。
- 薬剤師は、一般用、医療用を問わず、すべての医薬品の供給及びそれに伴う責任を果たしており、その業務も医薬品の受け入れから供給に至るまでの物の管理のみならず、適正使用に関する管理及び副作用への対応など広範囲にわたるものである。
- 薬剤師に求められる資質としては、これまでも薬学教育という大学教育を通じて培われてきたが、今後は6年教育の導入により、より一層の質の向上が図られることになる。
- 現行の管理者としての薬剤師、薬種商認定試験合格者など試験合格者については担保されていると考えられ、また、その後の生涯学習研修会等の実施により資質の維持は可能と考える。
- 配置販売業者については、作用緩和で蓄積性のないもの等厚生労働大臣が定めた品目のみを取り扱っているが、都道府県の行政当局による講習や業界が自ら行う研修等を行い、その取扱う品目の範囲に応じた資質の確保に努めているところであり、今後さらに、資質向上に努めていくつもりである。
- 医療用医薬品については、薬剤師には選択に関し、ほとんど裁量がないが、一般用にはかなりある。不適切な販売行為にならないように、制度として対応できないか。消費者の不適切な判断に対し、商売上の利益を無視して助言指導すべきであり、販売者の任務として定義してほしい。
- 風邪薬が犯罪に使われた事例では、大量購入されていたので、何らかのチェック機能が必要である。
- 咳止めシロップなどについては、薬物乱用防止のため指導を行っているが、完全なチェックは無理。
- 完全に防止することは無理だということはわかるが、責務としては入れる必要がある。
- 乱用や誤使用のなどのリスクについても、リスクの程度表や相対区分、制度に組み入れていくべきと言われており、その時に議論されると思われる。
- 乱用を防ぐために適正使用に心がけることが、薬剤師会の倫理綱領に入っているはずである。
- 薬剤師は国家資格である以上、モラルは当然求められており、薬剤師の任務は、薬剤師法において明確に定められている。また、情報提供については、薬剤師法25条に努力義務規定が明確にある。
- 医薬品の供給は、国民の保健衛生向上の手段であり、医薬品の販売が目的ではないため、不適切な購入者には売らないのが薬剤師の仕事である。
- セルフメディケーションに関わり、消費者にアドバイスできるのは販売者だけであるため、責務を明記すべきであり、義務を課す必要もある。
- 薬局開設者、管理者及びその他の薬剤師が、その責任を明確にし、責任を果たしていることを社会的に認識してもらうため、薬剤師会において毎年度「消費者に対する今後の薬局・薬剤師の行動計画」を作成し、実施状況を公表・検証している。
- 消費者への情報提供については、消費者に直接販売する者の役割と責任が大きいが、販売後の副作用発生時等への対応については、副作用発生時の対応システムを構築するほか、システムを円滑に機能させるための販売従事者に対する教育等も含め医薬品販売業の許可を受けた者の責任が重大であると考えている。
- 薬局の開設者は、薬剤師であることが望ましいという議論を進めてもよいのではないか。
- 配置販売は、「先用後利」という独特の販売形態であることから、消費者にとって必要な分だけを支払うため負担軽減になること、家庭への直接訪問により確実に医薬品の情報提供が行えること、顧客台帳により、配置した医薬品の把握ができ、副作用発生時等に確実な対応ができること等のメリットがあり、効能・効果とともに副作用を併せ持つ医薬品の特性に応じた販売方法となっている。
- 配置販売業は、配置箱に販売業者の氏名、連絡先等が明記されているほか、顧客台帳(懸場帳)には、配置した医薬品の種類、数量や服薬された医薬品の種類、数量等が記録されており、医薬品の管理と販売業者としての責任が明確になっていることから、販売後の副作用発生時等への対応が確実に行えるシステムであると考えている。
- 医薬品のリスクの程度に応じた分類は必要であるが,基本的には一般用医薬品として一元化することが最良であり、リスクの大きい医薬品であれば、医療用医薬品として管理していくべきである。
- 医薬品を飲む側の自己責任をいうのであれば、一般用医薬品は種類が多すぎるし、リスクの大きいものも入っている感じを受ける。そのため、リスク分類をしっかりと行ってほしい。
- (以上、第12回検討会での発言等)
- 薬種商は情報提供・情報収集の重要性を認識し、努力もしている。しかし努力義務規定であり、また、薬種商販売業個人の資格でないため立場も曖昧で、報告がうまくいっていないように思う。そのためにも、資格化が必要。医薬品の管理や従業員の監督などはきちんと取り組んでいる。ただ受診勧奨は難しい。
- 議論において、理想とミニマムスタンダードとが混在している。最低基準については、望むべき姿は顧客の選択の自由となり、制度的なマストの部分は顧客の保護となろう。また、これまでの議論では、一般販売業での話と薬局での話が入り交じっている。一般販売業に関する法律が未整備で、それが実態とのずれを生じている。
- 許認可責任、製造物責任、自己責任の三つの責任の中で制度が担保されるのがあるべき姿。また、添付文書が均一な情報提供の基本。
- 配置販売業は、各家庭を直接訪問して販売することから、口頭・パンフレットによる普及啓発が直接行えるメリットがある。また、使用期限の遵守についても適正使用のためには重要であり、配置においては、訪問時に期限切れが近づいている物については、事前に回収を図っている。
- 医薬品の購入時には、販売者側からの見解のようなものも含めた説明が必要。受診勧奨については、病名の診断ではないのだから、医行為ではないのではないか。
- 受診勧奨を行わなくて事故が起こったとしても、刑事責任までは負わせるべきではない。
- 販売者がどこまで関与するかを明確化すればよい。
- 添付文書を超えた範囲での受診勧奨は、行き過ぎと考えており、販売者がどこまで関与するかの基準を議論してほしい。
- 始めにあるべき姿を議論した上で、あとから現実的なところにもっていくべきで、これまでの議論の仕方に問題はない。 また、受診勧奨は医行為ではない。それから、PL法は、製造物責任だから別の話であり、販売者に責任はちゃんとある。その覚悟を持って販売すべき。
- 添付文書の範囲を超えた指導はできないと厚生労働省からは昔聞いた。そもそもの問題は、4つの業態の法律がばらばらで、歪みがあることである。
- 論点14において、「医薬品のリスクの程度に応じ」「実効性のある」とあるが、それが重要であり、それを意識して議論すべきである。また、添付文書を整備しただけではだめであり、患者にしっかり会って伝えなければならないこともある。
- 薬学教育4年制と6年制との違いは、服薬指導で、情報伝達の質が上がるため、薬剤師の重要性は増す。そのため、今後は薬剤師の権能を増やすことに関する議論も出てくるのではないか。
- 一般用医薬品を消費者に安全に使ってもらうための販売のあり方がどうあるべきかを考えるべきで、その結果法律の改正があり得る、ということだと思う。添付文書は、しっかりと説明をできる記述にもともとなっており、添付文書の範囲内で説明を行うこととの指導を逸脱しなくても情報提供は行える。
- 現状では役割・責任の所在がどこにあるかを明言することはできないが、受診勧奨や副作用発生時への対応は高度な知識が必要。医薬品の管理も、適正な状態から外れていたものを使ってよいかどうかを判断するためには、科学的な知識が必要。
- 添付文書だけの指導だと患者の様態がわからず、ネット販売と変わらなくなってしまう。また、会話を行いアドバイスできるなど、対面販売のメリットはある。服薬のアドバイスがあってこそ本当に役に立つ服用になる。
- 添付文書には、「医師等に相談すること」などの記述もあり、相談及び受診の指導はしっかりとできる。
- ユーザー側において添付文書をしっかり理解するかどうかは別の話。 使用環境はそれぞれ違うのだから、飲み方については、しっかり指導 してあげるべき。商品として売るのではなく、知識を持った人が情報 とともに供給する必要がある。
- (以上、第13回検討会での発言等)
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論点15:薬学教育6年制の導入による薬剤師の専門性の向上も踏まえ、一般用医薬品の販売に関する薬剤師の今後の役割・責務について、どう考えるか。
- 薬剤師の専門能力が上がることは社会的にもよいこと。販売者がどういう資格かが目に見えるとよい。
- 一般用医薬品は複合剤が多く、その情報を持っている人は少ないのではないか。6年制により薬剤師は医療人としての資質が高まる。アメリカでは、医師と薬剤師が共にインターンとして勤務し、連携を深めている。
- 6年制により高まる能力の発揮に、金銭対価をどうするか、ということが問題になっている。対価となる収入が確保できる仕組みになっているかということであり、医薬品の利ざやだけでは難しいのではないか。理想論と現実との乖離につながりかねない。薬事法上の情報提供義務は厳しいので、経営としてやっていけるかを考えないと、空論になりかねない。
- 6年制には、実務実習もあり、病院・薬局研修のうち薬局研修には4つの柱があって、一般用を含めたすべての医薬品の供給がある。消費者、患者と対話ができる人材を育成するシステムになる。
- 薬種商もかなり高度な試験を受けており、数もそれほど増えていない。6年制を受けた薬剤師の職能は、医療で発揮されていくのではないかと考えており、医療機関と販売業とは分けて考えるべき。販売業として新しい資格を作り、持ち場ごとに能力を発揮すればよいのではないか。
- 6年制で、薬剤師は、すべての医薬品を扱う知識を持った者が資質を高めることになるものであり、医療用だけ扱うべきということは考えられない。
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論点17:医薬品による副作用があった場合に、添付文書を作成した医薬品の製造業者の責任、薬局・薬店の情報提供に関する責任及び消費者のリスク認識等の関係について、どう考えるか。
- 薬剤師とそれ以外の方の見分けがつかない。明確な区分が必要。また、情報提供は、紙に書き、提供者のサインも書いて行うべき。また、情報提供は、重みづけが重要。
- PL法では、店舗の責任も重要な責任としてある。また、医師及び薬剤師は、その技術に保険の担保がある。それから、一般用医薬品に係る情報提供の努力義務は、開設者にある。
- 副作用についての情報は、因果関係が明確でないものについても収集できるようにしてほしい。
- メーカーでは、因果関係のわからない情報は、医師のコメントをつけて記録している。同じ事例が複数上がった際には、記録を見直して報告をしている。
- 情報提供した人の職務・資格を明らかにすることで副作用の情報の収集もうまくいくのではないか。
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検討項目3についての配布資料(第12回資料2)
検討項目4についての配布資料(第12回資料2)
論点に対する意見(全日本薬種商協会 鎌田伊佐緒委員、
全国配置家庭薬協会理事 安田博委員提出資料:第13回)
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(文責:小嶋慎二)
最終更新日 2009年8月15日
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