2016年4月

2016年4月

・古民家の存在は我が国の建築・生活文化上、社会的意義があるものと考えるが、この維持管理・存続のための経費がかかる事も否めない。当館の入館料、イベントスペース使用謝礼金及び撮影スタジオ使用料は、この一部に充当されている事を広く理解願いたいと思っている。いわゆる受益者負担、ギブ&テイクの共存の精神。時々、日本人の自国文化に対する認識度の低さを憂える事がある。

若い女性の日本一周の旅

 ゲストハウス松香庵をオープンさせてから約1年が過ぎた。やって良かったと思っている。概ねねらい通りの客層が大半を占めていて嬉しい。グループ、家族、会社チーム、ひとり旅等々良質なゲストばかりで時々、外国人も泊まる。当庵の方針もあって女性が圧倒的に多いが、ルールを守る男性にも結構利用されている。

 最近、日本一周の旅で当庵に2泊された女性・Kさんについて記録しておきたい。Kさんは神奈川県某市在住の日本人大学生。1泊して翌日の市内観光後、足尾・日光方面に発ったのだがその日の夕方電話があり、「適当な宿がないので今日も1泊できますか」―「OKですよ」―と、足利へ戻った。日本一周の旅にチャレンジした勇敢な若い女性なので、2泊目の宿泊料は減額し、夕食は外食に誘い私ども夫婦と共にして交流を深めた。彼女は近い将来、国連のような国際貢献できる仕事がしたい、また、青年海外協力隊にぜひ参加したいなどと抱負を語り、目を輝かせていた。四国―九州―中国―関西―北陸―北海道―東北等を経て関東に入り、46日目?が足利だったようだ。あと4日ほどで自宅に帰る予定―と。

 私ども夫婦は学生時代、スポーツ卓球に打ち込んでいたため各種全国大会や国体、また、合宿、遠征試合、後進の指導等で国内を飛び回り、それぞれの地域文化を肌で味わい勉強になったが、今の時代、こうして若い女性がひとり旅をして「日本の良いとこ再発見」とワイドに物事を思考する事は素晴らしい。応援してやりたい気持ちが自然に湧いていたのかもしれない。

「トンカツもおいしくておしゃべりも楽しくて最高の思い出になりました。お身体に気をつけてずっと元気でいて下さい。ありがとうございました。また来ます!」―などと、手書きの2枚の名刺には、なお加筆されていた。

 「ゲストハウスは単なるビジネスだけではない」とした私自身、人生晩期を少しでも意義あるものにしたいと思っている。