2015年10月

2015年10月

october2015・我が国は法治国家であり、3権分立である。しかし、多くの憲法学者や司法関係者、また、歴代内閣法制局長官が違憲とする安保法制が9月、国会で成立した。国民の間で法令に係る専門家の知識・解説・説得力、また、信用力が著しく低下したと言える。これは教育分野にも大きく影響するゆゆしき問題ではないのかな?

・憲法審査会に自民党推薦の参考人として臨んだ、憲法学者である早大の長谷部恭男教授は、今般の安保法制をためらいなくキッパリ「違憲」とした。まさに(是は是)非は非と、信念に基づき実践する偉大な人物との印象を受けた。とかく「長い物には巻かれろ」「出る杭は打たれる」を意識し、上手に立ち振る舞う御仁が多い社会にあって、実に爽快!

・今般、80㎡程度の土地が我が家に戻った。およそ100年に及ぶ賃貸借関係に幕を閉じたのである。我が先祖の「そこに住んでいていいよ」の言葉から始まったと聞き及ぶ。「K家の老朽化に伴い、解体・更地にする事にしました」―と。全国的に空き家問題が深刻化している中、建物所有者は賢明な判断をした。

木質燃料ペレット

パレットパレットパレットパレット 我が家の森林に通販大手「カタログハウス(通販生活)ソロー事業部」のメンバーが9月上旬、間伐作業のため入った。私の山主の立場としては“実験”の始まりだ。第1回目で今後も間伐は継続される予定。

 この杉・桧の間伐材は、茨城県内に設置された工場で木質燃料ペレットに加工される。“森は待っていたペレット工場”である。間伐材を有効活用する事で、荒れた森林の再生にもつながると期待している。木を粉にして固めたペレットは直径0.6センチ、長さ2センチの円柱形。皮むき、破砕、乾燥、圧縮の4工程を経て産地を表示した10キロ入り袋で出荷される。同社の専用ストーブだと、ペレット10キロで20時間燃焼を続ける。我が家の間伐材は「ソロー栃木(栃木ペレット)」になっていくだろう。

 「ソロー」はアメリカの詩人、博物学者のヘンリー・デイヴィット・ソローの名前に由来する。ソローは代表作「森の生活」の中で、人は生きていくために衣・食・住のほか燃料も必要であると語り、たいていの森にはあらゆる種類の薪や枯れ木が転がっているのに、人を温めるには少しも役立っておらず、返って若木の成長を妨げていると考える人もいる―。「森の生活」の発行は1854年なので、今から160年以上前。その頃すでに石油温水暖房の普及によって森林の手入れが十分でなくなってきた事情を伺わせている。

 この事業はまだ緒に就いた段階であるが、まず茨城県をベースとして基礎を固め、徐々に拡張していく構想らしい。いずれにしても私は、木質バイオマス発電や木質燃料ペレット、同ペレットストーブが社会に普及する事により、環境に優しい自然(再生可能)エネルギーの拡大、また、好ましい森林づくりの進展に寄与するものと考えている。一石二鳥の効果ではないか―と。この年になり、社会貢献、地球貢献に大きく関わるビジネスにいささかでも役に立てたら望外の幸せと今、夢を見ているところである。

百年名家

―人々の営みを支えてきた家屋には、暮らしを彩る様々な工夫があります。そして、そこには人々が受け継いできた物語があります。その古き良き日本の文化に触れ、未来に繋ぐ「暮らしのヒント」を探します(抜粋)―

 これはBS朝日より毎週日曜日の正午から放送されている「百年名家」の番組解説である。実は9月29日(火)の午後、当記念館がこの撮影取材先となった。

 出演者は旅人として俳優・タレントの八嶋智人(ヤシマノリト)さんと女優の牧瀬里穂(マキセリホ)さん。案内人として足利工業大学建築学科准教授(工学博士・一級建築士)の渡邉美樹(ワタナベミキ)先生だった。カメラ等撮影関係スタッフは15名ほどだったか。

 私と家内が取材に応じる形式だったが旅人、案内人、スタッフの皆さんに助けられて何とか無事に終了する事ができた。自然体とは言えノー原稿で場当たりに説明していた私なので、あとは編集者の腕にすがるしかないと思っている。

 ディレクタ―、プロデューサーの方々、くれぐれもよろしくお願いします。取材、誠にありがとうございました。

 それにしても久し振りに映画、テレビ等の第一線で活躍する芸能人と3時間近く交わったが、さすがにプロとの印象を強く受け、刺激をもらった。表現、笑顔、ジョークなど頭の回転が実にいい。プロのプロたる所以か。

 「百年名家」の放送は5年続いているとの事だが、これは珍しいそうである。視聴率が比較的良いのかな―。スポンサーは古民家再生と森林に情熱を燃やす住友林業(株)で、スケールに格段の違いこそあれ同社のスタンスは私と同様である。