2013年12月

現代アート「CON展」

スペイン 花の小道 11月上旬の「CON展」が成功裏に終了した。生活のアート化、アートの生活化を目指すグループCON。友情出品を含む10名の現代美術作家の作品が記念館に展示され、日頃の客層のみならず、アートの専門家やアートに関心を持つ方々が多数入館されて盛況だった。古民家の活かし方の1つとしても道しるべになった。キッカケを作ってくれたのは、隣接するギャラリー・いまぁじんの代表・加藤三枝子さんだった。
 「建物そのものがアートですから」―と、この企画・実行の中心的役割を担った、足利在住の小沢智恵子さんが何回か口にしてくれ、励みになった。全国レベルでの彼女の活躍振りについては、ネットで「小沢智恵子」を検索されたい。
 私は今回の行事を通じて、アートが身近なものになった。私の好きな樹木・木材を活かした美術作家が多数存在する事も知った。記念館近くの国指定の史跡、足利学校や鑁阿寺の建物も傑出したアートの作品例と言えるだろう。
 当HPのイベントスペースもぜひ、参照願いたい。

―アートリンク in あしかが 2013―

いまぁじん内の展示 記念館とギャラリー・いまぁじんは「CON展」の開催により、みだしの連携行事の一翼を担ったが、市立美術館、草雲美術館、商工会議所友愛会館、その他民間ギャラリー等も全市的に足並みを揃えた。10数か所の関係施設が緩やかにリンクされた事は、今後に向けて意義深い。アートや文化全般の振興、また、まちおこしといった観点からも、公共・市立美術館がこの調整役を務めた事は評価できる。
 このシステムは足利では初めてとなったが、先進事例は急ピッチで増加傾向にあった。遅れを取ってはならない。我がまちを元気にするため、時には「公共と民間の(節度ある)共生」が大切―と、私のかねてからの持論である。役所は役所、民間は民間との区分はもはや古い。
 都市経営とは?―と。市行政としては、市民の文化力や経済力が高まり、まちが活性化して市税収入に良い影響が出れば、教育・福祉・環境・インフラ整備等公共投資も進展可能と、極めてシンプルな発想が今の時代、不可欠ではないだろうか。

畳替え

床板 記念館の畳替えを行った。すべてではないが主要なスペースで本間・40畳を超えた。
 外国産が多く出回る中、私は熊本県八代市の天然の国産畳表を選定した。畳屋さんも今や生産地の「出荷証明書」を発行している状態にある。イグサ(い草)の香りが部屋中に漂い、いい気分である。
 この際、床板、畳床の写真を撮って見た。築88年の建物だがいずれも劣化していない。昔の職人技術・文化を改めて知る事ができた。床板は多分、マツ(松)の木の厚い1枚板だろう。
 畳床について畳屋さんは、「多少の凹凸があってもまだまだ使えます。本物で柔らかみがあります。これほどの物は扱った事がありません」―と。
畳床  私は経済のグローバル化を否定する者ではないが、特に我が国の自然素材に基づく製品については、できるだけ使用するべきと訴えている。 日本に定住する著名なドイツ人の「日本人は自国の文化を粗末にしすぎる」―との評論に心が痛い。

森林資源

森林内 目下、所有林(杉・桧)の間伐を実施している。間伐はここ10年以上、行っていなかった。木々が怒っているようにも感じる。栄養が取れない、根が張れない―と。衰退した森林環境は、最近のように国土に災害を多発させ、多くの犠牲者を生んでいる要因の1つに挙げられる。二酸化炭素吸収力の低下等、地球環境保全に向けての課題でもある。
 国内に安かろう、悪かろうの外国産材が当然のように出回り、国産材があまり使用されていない。大半の森林の中が暗いのは、この需要と供給のバランスが狂ったままの状態にあるためである。
 先進国としての仲間・ドイツは、自国の森林資源と木材を非常に重要視している点はさすがだ。森林面積は日本の半分以下なのに、林業が今でも4つの基幹産業の1つになっている。木質バイオマス発電でも先進国だ。我が国はようやく「山の日」の制定に動き出したが、森林・林業政策は誠に甘い。木の文化を誇りとするべき我が国土が危ないのに。
 どれほど科学技術が進化したとしても、いわゆる「不変の原則」は伝承されなければならないと、私は思っているのだーが。