私は大正デモクラシーを牽引した政治家の一人、足利出身の横田千之助を独自に顕彰しているが最近、宇都宮在住のMさんから小説「横田千之助小伝(ヒューマニズムの織物)」の原稿が届いた。2005年(平成17年)、学習院大学卒業生(女性)が横田を卒論テーマに取り上げたが、これも手元にある。テーマは「横田千之助の政策と思想的背景」で、このYさんと指導教授が一緒に来館した事があった。約100年前に活躍した政治家を知る人ぞ知るではあるが、今でも忘れられていない事に喜びさえ感じている。横田は私の祖父の義弟に当たる。
2008年(平成20年)の日経新聞に面白い記事が載っている。―政界では「一寸先は闇」という言い方をよくするが、この語源は横田千之助の「政界寸前暗黒」にある―と。
大正末、激動の政局動かす。「苦学力行」深い人間愛。本県初の大臣等々、横田に関する書籍・新聞等多くの活字が残っていて、大臣に就いて私腹を肥やすような政治家ではなかったようだが、次の解説文によって横田をより知る事ができる。
(横田は)鋭利な才能の持ち主であったが、若年の頃に苦労したため弱者に対しても気を配る几帳面な人物であり、政友会と対立する元老山縣有朋も横田の人格を高く評価していた。西園寺は原に続けて自らの政治的後継者とみなしていた横田を失った事を深く悲しんだ。さらにその悲しみが癒えない内に政友会が加藤内閣からの離脱を決めた事に激怒し、以後元老西園寺とかつて総裁を務めた政友会の関係に微妙な隙が生じる事になった。
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