映像のまち

 足利の「映像のまち構想」に市民の関心が高まってきた。和泉市長のブログに抱負が述べられているが、昨秋あたりから適時、新聞報道が活発になってきた事もあろう。1月の定例記者会見でも市長は「超えなければならないハードルはあるが、一つ一つクリアしていきたい」と、これに取り組む意欲を示している。
 私は姉妹都市・鎌倉の古民家オーナーと交流があり時々、情報交換をしている。東京に近く、魅力あるロケーションを数多く有する湘南地域だが、最近は各種撮影エリアとして少々衰えを見せている、との事である。物価、施設等使用料、東京との道路網の交通渋滞、行政や住民の撮影に対する理解・協力度等において、“当然”として利用されてきた地域にも異変が起こっているらしい。また、東京での撮影環境も低下している事を耳にする。
 足利の場合、大規模撮影スタジオを誘致し、これを中核施設として、まち全体に波及効果を齎そうとするものであり、私は面白い構想と受け止めている。映像は未来永劫、進化しつつ継承され、社会から消えてなくなるものではない。この構想が実現すると、おそらく東京を中心とする人・物・金の動きが、足利市域で活発化するだろう。さらに私は、何よりも、これを起業する人物が足利出身である事を見逃してはならない、と思っている。
 「公共と民間の(節度ある)共生」は私の持論である。たとえ行政と株式会社とのジョイントであっても、これが市民に広く利益を生じさせる狙いがあるならば、思考レベルの低い“市長選論議”や“政党政治論”などは超越し、まさに「地方自治の理念」に基づき、私たち市民は、等しくこの構想を応援しても良いのではないか。
 ただし万一、この構想が特定の議員等の利権の対象として進行するような場合は、水泡に帰する事もあり得るので、行政目的・効果をより明確に表すとともに、この件に十分留意して臨まれたい、と老婆心ながら付記しておく。