毎年、春が近づくと企業や公的団体をはじめ自治会等、各種任意団体も新年度に向けて準備作業に入る。一般的に事業・会計年度が4月から翌年3月までとなっており、このためだ。各方面からいろいろな“情報・雑音”が入ってくるのも、この時期は格別に多い。
自治会は全国的に行政町名ごとに構成されているが、これに加入しない住民(以下テナント含む)が増加傾向にある事は否めない。自治会に対する不満や反発、また、わずらわしい付き合いを拒みたい人などもいるが、いずれにしても自治会は基本的に任意団体であり当然、加入の義務はなく、強制されるものでもない。あくまでも住民それぞれの意思に基づき、結果的に自治会が構成されている事が原点だ。地域を緩やか、かつ民主的に自ら治めていくのが自治会本来の使命だろう。最近は構成メンバーの年齢を主な基準に“限界集落”との表現が学会・マスコミ等で、また、行政の下請け末端組織とも広く言われたりするが、これにも増して近隣に信頼関係を共有できない場合は、もはや地域・自治会が崩壊しているのと同然だ。
自治会を強権的組織と勘違いしている御仁も時々見受けられるが、これは大変な間違いで、我が国は「法治」を基底とする自由主義社会である事を忘れてはならず、また、どなたであれ「基本的人権」が尊重されなければならない事は、私たちの基本法・憲法が保障しているところである。
事の善悪は別として、地域とうまくやれない人をいわゆる“村八分”とした時もあったと耳にするが、今や葬式関係一切を業者が切り盛りする時世となり、行政情報はインターネット、人的交流はモータリゼーションの浸透で広域化―と、人々の自治会への帰属意識は著しく減退している。自治会に所属しなくても、自治会の行事以外では、わずかな差別も認められないのだ。
人口減少、超高齢社会に向かう今、自治会の近代化と真の在り方を模索する、絶好の機会が到来しているのではないだろうか。
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