懐かしのメロディー・映画

notebook 最近のテレビ番組で顕著な現象の一つに「懐かしのメロディー・映画」がある。私たち団塊の世代がおおむね第一線を退き、つれづれ日程で夜、特に跳び付くのがテレビなのかもしれない。高視聴率が見込めればスポンサーが次から次へと付き、それぞれ趣向を凝らして放映となる。まるで各チャンネル相互の競い合いかと思えるほど盛んであり、私もこの傾向を歓迎している。
 萬屋錦之助、鶴田浩二、石原裕次郎、美空ひばり、島倉千代子等々は故人となってしまったが、高倉健、小林旭、加山雄三、北島三郎等々は健在である。歌舞伎の名優を含め、この60年余の間、芸能界から名前を挙げたら切りがないほど多い事に自身で驚く。それぞれ当時のイメージがあり、随分年取ったな、と思ったりもするが、実は自分もそうなっている事を再認識する。まさに歌は世に連れ、世は歌に連れ―である。幾多の教えを受けた映画も現代に蘇り、涙腺が緩む事もあるが多分、私だけではないだろう。
 高倉健が文化勲章を受賞した時私は、心臓が破裂するほどに嬉しかった。昔は政治家や軍人の生き様が人々に生きる力と感動を与えたそうだが、今は芸能界やスポーツ界の人物の方が上を行っているように思えてならない。