コスプレイヤーの皆さんへ

   ―古民家スタジオ・松村記念館5周年―
             足利市 松村記念館館主 松村和久

 桜のつぼみも大きくふくらみ、春を感じさせる今日この頃となりました。コスプレイヤーの皆さんにはお元気にお過ごしのことと拝察します。いつも当館をご利用いただきまして、厚くお礼申し上げます。今年は当館がコスプレ受け入れ5周年を迎える年であり、私はコスプレイヤーの皆さんとの交流がよき思い出の1ページになっていることから、何か書いてみようと思いPCに臨みました。
 私は20年ほど前、古民家の社会的意義を考え、当館を一般公開するとともに、アート展や各種撮影の場としての活用に踏み切りました。5年ほど前、仮装文化振興会・コスコテ代表者との出会いがあって以来、ここと提携し、新たな分野としてコスプレ撮影も受け入れて参りました。当時、コスプレについては、社会の一部に“偏見”があるやの情報もありましたので、いささか勉強させていただきましたが、私は憲法上の「法の下の平等」「基本的人権」「表現の自由」の観点から、コスプレを現代の若者文化の一つとしてとらえ、正々堂々と臨んできたつもりです。
 さらに、私の念頭には当地域の活性化もありましたので、この撮影形態が当館にとどまらず、時には外出しての撮影に及ぶことを想定し、当館周辺の関係自治会長、史跡足利学校所長、鑁阿寺住職、市役所関係セクション、観光協会等のご理解、ご了承を得てから進めました。とりわけ公共施設である、史跡足利学校においては「仮装(コスプレ)で参観される方へのお願い」を調整し、この順守を前提に日頃の皆さんの入場を歓迎してくれています。また、同じく公共施設である、まちなか遊学館においても、拡大イベントの際には皆さんの更衣・休憩の場として利用させてくれています。
 このように多くの関係皆様の応援を得て当館での撮影、また、春と秋に開催する、周辺施設や道路等を含めた「コスプレ歴史文化ゾーンイベント」においても、お陰様でトラブルは一度もありません。皆さんには、いわゆるルールをきちんと守っていただいており、マナーは良好との評判です。昨年、通2丁目商業会からご要望を受け、歴史文化ゾーンイベントの撮影エリアを広げました。
 昨年の今頃、当市で行われた「山姥切国広展」には、国内外から4万人ほどの「刀剣女子」を中心とした刀剣ファンが来訪、市内を回遊してくれました。経済効果は4億円でした。これを契機に市民のオンラインゲーム、アニメ、コスプレ等への理解・認知度は高まったものと認識しています。私はこれら若者文化の普及をなお前進させるべく、微力ですが努めて参りたいと思っています。
 当館が皆さんからいただく使用謝礼金については、NPO精神をもってこの維持管理・運営費に充てさせていただいており、大正建築の古民家をみんなで保護していると言えます。感謝の念に堪えません。当館は私ども夫婦の2人3脚で運営していますが、いつまでできるかと不安を感じることがあります。しかし、若い皆さんのパワーをいただき、できる限り長続きさせていきたいと思っているところです。今後とも一層のお力添えをよろしくお願い申し上げます。
 以上、コスプレ受け入れ5周年を迎えようとしている今、当館館主としてご挨拶させていただきました。一期一会もよし、再会もまたよし。コスプレイヤーの皆さんのご健康、ご多幸を念じます。
(上記は2018年3月、コスコテ古民家スタジオ松村記念館HPに掲出した文書の写しです。)