2015年11月

momiji2015

史跡足利学校及び鑁阿寺周辺環境

bannaji201512abannaji201512b 私が生まれ育った足利学校、鑁阿寺周辺。市が誇れる地域である。私は昔から“歴史文化ゾーン”と勝手に称している。周辺住民の中には「静かな街が良かった」などという人もいるが、多くの市民はここを足利の顔とし、もっともっと賑やかで活気のあるエリアにして欲しいと期待を寄せている。市街地並びに足利再生に向けた拠点としてー。当該自治会は、構成メンバーに商人(あきんど)が大勢を占めるようになった現況を考慮し、より民主的に柔軟な運営に努めなければならないと思っている。
 この“学校様”と“大日様”を結ぶメインストリート・石畳道は昌平町から大門通を走る。私なりに「市民も立ち上がろう!」と外蔵のレストラン、離れのギャラリー(現在はゲストハウス)、自宅の公開等(記念館)へと微力を注いできた。「自分はこの街のため、自身のため、何ができるか」を生きるテーマの1つにしている。
 足利学校が復原された、25年前のこの一帯の姿を現在と比較してみると随分変化した事が分かる。テナントが増加し、空き店舗はほとんどなく、街並み景観も向上し、それなりに市民や外客にも楽しめる雰囲気が出てきた。より良いまちづくりにはある程度、時間の経過が必要だが、着実に前進しているように思える。ただ、公的組織等による一過性とも言えるイベントの域を、いまだ越えられない問題点も私は指摘しておきたい。賑わいのある時・場所にイベントを組む事を否定こそしないが、年間通して多くの人々に親しまれる街にするため、どうすべきか―と。
 その昔、国宝・彦根城を視察した際「お城だけでは(観るだけでは)人を呼べなくなった」と、行政やまちづくりグループリーダーの解説を今でも時々思い起こす。“観るだけ”はとっくに終わり、拠点はもとより、その周辺の魅力的環境整備や人的交流が人々に感動を与えるという事を行政、商工会議所、また、私ども一般市民も改めてしかと認識し、論理を超越した、具体的行動を起こさなければならない。

古民家活用

 市内で古民家・空き家活用の動きが遅れながらもようやく高まってきた。今はたとえ少数の市民運動であっても社会的意義があり、良質な古い建物等を現代に活用・保存していく方向は喜ばしい。まちづくり、まちおこし、また、日本文化伝承といった観点からも有益だと思う。このままだと氏子・檀家を抱える神社・仏閣以外の「木の文化」は危うい。
 これらはNPO(法人)の精神に基づき、ある程度の収益事業を行い、維持管理経費を生み出せるかどうかがポイントになるだろう。「自立」が好ましく、ならば行政などの補助金頼みの発想でない方が望ましい。
 日本人の悪い癖はつい「良い事だから補助金(税金)を出せ」となり、挙句の果ては主体性のない言動になってしまう恐れがあり、心配でもあるがぜひ、リーダーのハイレベルな舵取りに期待し、陰ながら見守って行きたい。

2015年10月

october2015・我が国は法治国家であり、3権分立である。しかし、多くの憲法学者や司法関係者、また、歴代内閣法制局長官が違憲とする安保法制が9月、国会で成立した。国民の間で法令に係る専門家の知識・解説・説得力、また、信用力が著しく低下したと言える。これは教育分野にも大きく影響するゆゆしき問題ではないのかな?

・憲法審査会に自民党推薦の参考人として臨んだ、憲法学者である早大の長谷部恭男教授は、今般の安保法制をためらいなくキッパリ「違憲」とした。まさに(是は是)非は非と、信念に基づき実践する偉大な人物との印象を受けた。とかく「長い物には巻かれろ」「出る杭は打たれる」を意識し、上手に立ち振る舞う御仁が多い社会にあって、実に爽快!

・今般、80㎡程度の土地が我が家に戻った。およそ100年に及ぶ賃貸借関係に幕を閉じたのである。我が先祖の「そこに住んでいていいよ」の言葉から始まったと聞き及ぶ。「K家の老朽化に伴い、解体・更地にする事にしました」―と。全国的に空き家問題が深刻化している中、建物所有者は賢明な判断をした。

木質燃料ペレット

パレットパレットパレットパレット 我が家の森林に通販大手「カタログハウス(通販生活)ソロー事業部」のメンバーが9月上旬、間伐作業のため入った。私の山主の立場としては“実験”の始まりだ。第1回目で今後も間伐は継続される予定。

 この杉・桧の間伐材は、茨城県内に設置された工場で木質燃料ペレットに加工される。“森は待っていたペレット工場”である。間伐材を有効活用する事で、荒れた森林の再生にもつながると期待している。木を粉にして固めたペレットは直径0.6センチ、長さ2センチの円柱形。皮むき、破砕、乾燥、圧縮の4工程を経て産地を表示した10キロ入り袋で出荷される。同社の専用ストーブだと、ペレット10キロで20時間燃焼を続ける。我が家の間伐材は「ソロー栃木(栃木ペレット)」になっていくだろう。

 「ソロー」はアメリカの詩人、博物学者のヘンリー・デイヴィット・ソローの名前に由来する。ソローは代表作「森の生活」の中で、人は生きていくために衣・食・住のほか燃料も必要であると語り、たいていの森にはあらゆる種類の薪や枯れ木が転がっているのに、人を温めるには少しも役立っておらず、返って若木の成長を妨げていると考える人もいる―。「森の生活」の発行は1854年なので、今から160年以上前。その頃すでに石油温水暖房の普及によって森林の手入れが十分でなくなってきた事情を伺わせている。

 この事業はまだ緒に就いた段階であるが、まず茨城県をベースとして基礎を固め、徐々に拡張していく構想らしい。いずれにしても私は、木質バイオマス発電や木質燃料ペレット、同ペレットストーブが社会に普及する事により、環境に優しい自然(再生可能)エネルギーの拡大、また、好ましい森林づくりの進展に寄与するものと考えている。一石二鳥の効果ではないか―と。この年になり、社会貢献、地球貢献に大きく関わるビジネスにいささかでも役に立てたら望外の幸せと今、夢を見ているところである。